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第38話:学校を直す日と新しい黒板

学校に通いはじめて数日。


兄たちと一緒に教室へ入ると、私はふと周りを見渡した。


「……あれ?」


机の脚がぐらついていて、椅子の背もたれがひび割れている。


ノートは紙がやぶれてボロボロ、教壇の横にある人体模型は腕が取れかかっていた。


「先生、これ……いつからこうなんですか?」


「うむ……予算がなくてなかなか修理できなくてな。」


先生は困ったように笑う。


私は兄たちと顔を見合わせ、頷いた。


「……じゃあ、私が直すね!」


◇◇◇


授業が終わったあと、私は作業台を教室に広げ、壊れたノートや机、椅子を並べる。


兄たちも手伝って部品を集めてくれた。


「等価交換……新品のノートに!」


光が走り、破れていたページがつやつやの新しい紙に生まれ変わる。


ノートを手に取った生徒たちは「すごい!」「書きやすそう!」と歓声を上げた。


「等価交換……丈夫な机と椅子に!」


ひび割れていた椅子は頑丈で座りやすいものに、がたついていた机はしっかりとしたものに。


教室がどんどんきれいになっていく。


「人体模型も……等価交換!」 取れかかっていた腕が元通りになり、色も鮮やかに蘇った模型に先生が「おお、これは分かりやすい!」と目を丸くした。


◇◇◇


そのとき、先生が奥から重そうな黒板を持ってきた。表面は傷だらけで、書いてももう消えない状態だという。 「これも……直せるだろうか?」


私は黒板を見つめ、前世の記憶がふっとよみがえった。 「うん、黒板は黒板でも……ホワイトボードにしてみよう!」


「等価交換……ホワイトボードとペンに!」


光が走り、黒板が真っ白なボードに変わる。横にはカラフルなマーカーが並び、消しやすい専用のイレイサーもセットで現れた。


「おお……これはすごい!」先生が試しに文字を書き、簡単に消せることに感動の声を上げる。生徒たちも「わぁ、きれいに消える!」「絵も描ける!」と大はしゃぎ。


◇◇◇


新しいノート、新しい机と椅子、そしてホワイトボード。教室はまるで生まれ変わったように明るくなった。


「これで授業がもっと楽しくなるね!」 私はカウンターの代わりに教壇の前でにっこり笑い、兄たちも満足そうに頷いた。


ネセレ、6歳。学校を丸ごと修復し、未来の学びをホワイトボードとともに照らした春の出来事である。

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