宿屋のお風呂から上がったユウユウは髪の毛を私がプレゼントしたタオルで拭く。
「ふぅ……今日は緊張したな………でも、世界を救うための第一歩は踏み出した。さぁもっと気合入れていくぞ!!」
ああんっ、いつ見てもなんて逞しい身体なんだろう。私が住む世界を守るために必死に鍛え上げたこの身体……私がユウユウに抱き着いたままスクワットしたり、タンパク質たっぷりのモンスターを調理した料理を上げたりして作ったいわば私とユウユウの愛の結晶……
頬ずりしたい、スリスリスリスリしたい。そしてユウユウにも私の身体をスリスリしてほしい、そしてその後はベッドでお楽しみを……
愉快極まりない気分でまだタオルもまいていないユウユウの下半身を見ようと顔を下げ「勇者様!!ここにいるんですよね!!!」て?
「ほえっ?」
「あにゅっ?」
姫様がいた。手には緑の宝玉を持っている……いや、そんなことはどうでもいい、重要なのはすっぽんぽんのユウユウがいる空間に私以外の女がいると言うことだ……
数瞬だけど、永遠のように長い時が終わり、私たち全員がこの状況を把握した……
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
「すいませんでしたぁぁぁぁ!!!!」
「何してんだこのメス牛ぃぃぃ!!!!!!」
カオスな空気に飲まれた後に姫は顔を赤くしながら部屋から出ていった。
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しっかりと服を着こんだユウユウに向けてラッキースケベに遭遇したメス牛姫は無駄にデカい胸を揺らしながら深く頭を下げていた。
「この度は誠に申し訳ございませんでした」
「い、いえいえ。あれは不幸な事故です。俺の方こそ……その………粗末なものを見せて申し訳ありません」
そんなことないよユウユウ!!ユウユウのはとっても立派なんだから!!!私にとってユウユウの物以上に立派なものはないから胸を張って!!!
「えっと……それで姫様、一体俺のところに何の用ですか?」
「そ、そうでした。勇者様、これをお持ちになっていただけますか?」
「ん?」
ユウユウは不思議な顔をしながら緑の宝玉を手にする。その瞬間、眩くも暖かい緑の光が部屋の中を覆いつくす。
「まぶしっ……」
「いったい何が……」
しばらくして光が落ち着くと宝玉に文字が浮かんでいた。ユウユウの背中越しに文字を見ると『滝壺のダンジョンに向かえ』と書かれている……
その文字を見たと同時に私はふぅっと安堵の息をもらす。
よかったぁ……信じていたけれどやっぱりユウユウが選ばれし者だった………流石はユウユウ!!!
「姫様……これは一体?」
「先ほど私にボルビール様のお告げがあったのです。その宝玉を勇者様に与えれば道が開かれると……その文字はボルビール様からのメッセージに違いありません!」
「ボルビール様……この国を建国したお方にして初代国王でしたね」
「そう、つまり私のご先祖様でもあらせられます。というわけで子孫の務めとして私も勇者様に同行いたします」
え?
「いえいえ、そんな滅相もないですよ。俺が一人で向かいます」
「いいえ、私も向かいます。大丈夫ですよこう見えて私も結構鍛えているんですよ」
すると姫様は懐から鉢巻を取り出した。ボルビール王国のシンボルであるツバメをあしらったマークが描かれている。
「それにボルビール様からお告げを受けたのは私です、一度乗った船には最後まで乗らせていただきますよ!!」
ギュッと鉢巻を巻いた。気のせいか彼女の身体から高貴なオーラが湧き出てきたような気がする。
「さぁ勇者様、善は急げです!!いざ、滝壺のダンジョンへ!!!」
そう言って姫様はユウユウの手を掴んで宿から出ていった。その様子を見て一瞬姫様の胸を滅したくなる衝動に駆られたが、必死にそれを抑えて二人の後を追う。
思ったよりアグレッシブな姫様だなぁ……お告げを授ける相手ミスったかも。まぁいいや、姫様とある程度コネを作っといた方が後々便利になりそうだし……それにちょっと身体に触れた程度で滅するのはいくら何でも狭量ってものだよね。
私は勇者の妻なんだからもっと広い器を持たないと……あのバルンバルンッのおっぱいより大きな器を……
こうしてユウユウ達は苦難の待つ滝壺のダンジョンへ挑むことになったのである。