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第14話_門番の巨大鎧

 翌朝、真聖たちは王国の指示で地下遺跡第三層の調査に向かった。

  第三層は過去に封印されていたが、輪の影響で結界が弱まり、進入可能になったのだ。

  通路は狭く、壁面には複雑な紋章がびっしりと刻まれていた。

  拓己が小声で呟く。

  「この彫刻……昨日の資料にあった門番装置の警告文だ」

  真聖は足を止めて確認する。

  「つまり、この先には何かが待っているということか」

  やがて広間に出ると、そこには二階建ての建物ほどもある巨大な鎧が立っていた。

  目の部分が赤く光り、低い駆動音が響く。

  「自律鎧……?」つむぎが息をのむ。

  俊介が短剣を構え、低く笑う。

  「長続きしない俺でも、こういうのは燃えるな」

  巨大鎧がゆっくりと動き出し、床を震わせた。

  「来るぞ!」真聖が叫び、全員が散開する。

  つむぎが先陣を切り、俊介が後詰めとして駆ける。

  拓己は鎧の動きに目を凝らし、小さな違和感を見つけた。

  「右膝の関節が甘い!」

  その声に反応し、つむぎが跳躍して右脚を狙い、俊介が横合いから剣を叩き込む。

  鎧が体勢を崩した瞬間、陽斗が冷静に攻撃指示を出す。

  「全員、右側に集中しろ!」

  連携の一撃が決まり、巨大鎧は轟音を立てて崩れ落ちた。

  広間に静寂が戻ると、可奈子が息を弾ませて言った。

  「やった……勢いで突っ込んだけど、なんとかなったね!」



 崩れた巨大鎧の内部から、複雑な魔導機械のコアが転がり出た。

  拓己がそれを拾い上げ、慎重に観察する。

  「これ、ただの防衛装置じゃない。輪の制御システムとリンクしてる」

  陽斗は頷き、周囲の壁面を確認した。

  「この層そのものが、輪を守るための要塞だったのかもしれない」

  つむぎは剣を納め、深呼吸をする。

  「礼を尽くす戦いとはいえ、やっぱり疲れるわね」

  俊介は肩をすくめて笑った。

  「しつこく食い下がった甲斐があったな」

  その時、可奈子がコアを指差した。

  「ねえ、これって……動力がまだ残ってない?」

  真聖が近づき、冷静に観察する。

  「確かに微弱な信号がある。でも今は暴走していない」

  貴子が静かに言葉を添えた。

  「この鎧も、もしかしたら意思を持っていたのかも」

  場に短い沈黙が落ちる。

  だが真聖は首を振った。

  「答えを出すのはまだ早い。今は前へ進むべきだ」

  一行は巨大鎧を越えて奥へと進んだ。

  そこにはさらなる階層へ続く階段があり、淡い光が下方から差し込んでいた。

  未知への道が、また一つ開かれたのである。

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