頼りにしていたサアラはあのあと素直に屋敷に戻り、私の弟子探しは振り出しに戻ってしまった。
(困ったなあ。1人で生地をこねて成型してかまどに入れて焼いて〜ああ工程が多すぎて求められる数をこなすことが出来ない。とりあえず酒場に行って職を探している人がいないか聞いてみるか)
私はそう思いたつと早速酒場へと向かった。
受付嬢は私がやってきたので目をぱちくりとさせて驚いていた。
「あなたは通りにあるパン屋さんですよね?もしかしてクエストの受注ですか?」
「いえいえ。私、今弟子になってくれる人を探してて、誰かいい人がいたら紹介してもらえませんか?」
「まあ!昨今クエストが少なくなってきて職につけない方が沢山いらっしゃるからクエストとして正式に募集すればすぐにお弟子さん候補が見つかると思いますよ」
「本当ですか?できれば即日住み込みで働いてくれる人がいいのでそれで募集をかけてもらってもいいですか?ちなみにクエスト発注のお題は?」
「募集だけでしたらタダですよ。成立した場合手数料として30000ベリーいただきますが、よろしいでしょうか?」
「もちろんです。ではよろしくお願いします。」
たった30000ベリーで弟子が向こうからやってきてくれるなら安いものだ。私は早速申し込み用紙に条件を書き始めた。
「あの〜ところでご相談なのですが、あなたのお店のパンは食べると色々なエンチャントが得られると評判ですよね?そのお。美容にいいパンを作ることって難しいですか?」
「美容に…ですか。血流を良くして肌にハリと潤いを与える…と言った効果ならつけられますよ」
「本当に!?だったらぜひ作ってください。私も友達に美容に効くパンがあるって広めますから」
「ええ。まずは試作をして1ヶ月後には販売を開始しますね。その際は真っ先にお知らせします」
「よろしくお願いします。あ!クエストの申込書も受け取りますね…はい!OKです。朗報をお待ちください」
「よろしくお願いします。ではまた」
私はそういうと酒場を後にした。