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第十話「百鬼士夜行ー後日談ーマリア視点side」

「1」


 ーー????ーー


 マリアーー。


 だれ?私の名前をよんでるのは?ーー。


 マリアーー。


 だからなに?私の名前を気軽によばないで!!


 マリア、マリア、マリアーー


「いいかげんにして!!」


 私は思わず叫んで目を覚ました。




 朝早く目を覚ますついでに飼ってるペットのメス秋田犬ララにエサやりする。ララを世話するのはお家柄の方針である。私の家は財閥の豪邸はいかなくともそこそこ広い屋敷に住んでいる。

 両親は海外にいるため、私と使用人達しかいない。

 毎晩あの言葉に悩ませる。

 それは私の名前を呼びかける夢。

 何もない真っ暗な場所で呼びかける誰か。

 これがひとつ。

 そしてもう一つはーー。

「マリアお嬢様」

 と、執事の爺やが私に呼びかけた。

「何かしら?」

 爺やは咳払いして重い口調で言った。

「マリアお嬢様。言いづらいのですが毎晩遅くまで起きてますので。爺やはとても心配です。もしお身体「あーもうわかってるわよ」はい」

 爺やの説教はうんざりする。

 もう、子供じゃないだし。わかってるわよ。

 ま、高校生だけどね。

 それに眠れないのはアレがあるから。

 私の最大眠りを妨げる

 アレがあるかぎり私の安眠が来なかった。

 そして私は料理長が用意された朝食と軽めのシャワーを浴びると制服に着替えて爺やが運転する専用高級自動車に乗りそのまま学校へ向かった。


「2」


 ーー「野薔薇女子学院1年B組」ーー


 私が通う学校はお嬢様が通う学校であり、私のような家柄お嬢様もいる。

「マリア!」

 そっと私に呼びかける声。

 彼女はアヤ。

 私の親友であり恋人のそれ以上の関係だ。

 そう、私たちはお互い愛し合ってるから。

 どうせ呼びかけるあの声も彼女でありたいくらいだ。

「今日の放課後、例の場所へ行かないか?明日から夏休みだしな」

 例の場所ねーー。

「いいわよ。丁度習い事もおやすみだし、行くわよ」

 私は喜んでアヤの誘いを受けた。


 ーー「野薔薇商店街」ーー


 日傘を差した私とアヤは商店街に催しするお祭りを見学してる。

 ここはかつて鐘技市が吸収合併する前に存在する商店街だ。

 ここの住人達は祭りモノが好きなのかよく毎月のたびに開催する。

 今月の祭りはどうやらお互いの神輿をぶつけるお祭りだが……どこかで見たことあるわね。

 その小さな女の子は神輿を乗り込んでぶつけるみたいだが大丈夫なんだろうか?

「なー?マリア」

「何?」

「例のまだ聴こえるのか?」

 アヤには例のアレも包み隠さず一度相談してる。

「……ええ。でも今日はひどくない方よ」

「そっか……」

 しばし長い沈黙が流れる。

 アレが出るようになったきっかけは先月の初夏に遡るーー。


「3」


 あれはそうだな。俺が夜分遅くに野薔薇商店街に訪れた頃だな。

 俺はその時ガガガガガと妙に金属の擦る音が聴こえてきたからなんだろうなー?て周囲に見渡したわけよな。

 そこのずっと離れた場所から何やら骸骨の奇妙な集団が行脚してたわけよな!?

 だから、俺は忘れずにスマホンでいくつか、シャッターを切ったわけよな!?

 そしたら、骸骨集団もな、俺に気づいて向かって魔剣を構えたわけだよな。

 そして一気にザザッと俺の周囲には骸骨集団に取り囲まれたわけだよな!!

 だから、俺の宿るチカラが発現したわけよな!?

 そう、エクサパチンコセイバーががががががががな!!

 そう、その聖剣を扱いしチカラでバッタバッタとガガガガガガガガと音が鳴り響き斬り伏せたんだぜ。え?白けた??い、いや、ここからすごいだぜ。斬り伏せた骸骨集団が合体して……おい!?ま、待ってくれよ!?



「はぁー。時間の無駄だったわ」

 私はその日、怪異談語りをたまたまやっていたところを興味本意で聴いた帰り道の夕方暮れだった。

 ーーガガガガガ。

「?」

 何やら私の頭の中に耳障りする鉄のような擦れる音が響くのである。

 ーーガガガガガ。

 その音が徐々に大きくなる。

 ーーガガガガガ。

 その音の原因がなんなのかたどってみて調べたがなんなのかわからなかった。

 ーーガガガガガ。

 私はその日以降からその耳障りな不快な音に悩まされるようになった。


「4」


 私はしばらくしてあの擦れる不快な音に悩まされて病院にも出向いたが結局何も分からず仕舞いだった。

 そしていつのまにか、夢の中で私の名前を呼びかける声。

 この悩ませる二つのアレが私をイラつかせて不眠になった。

 そして原因となった例の怪異談を披露したあの少年の行方は分からず仕舞い。

 ほかの商店街の人たちも聞いてみたが結局わからなかったわ。

 あの擦れる音は一体なんだったんだろうか……。


「5」


「お嬢様」

 後に振り返ると爺やが迎えに来たようだ。

 時間見ると少し長居したようだ。

「アヤ。私先に帰るわね」

 私は爺やが運転する高級自動車に乗り込みそのまま帰路に向かった。


 ーー「車内」ーー


 マリア達が乗り込む車はAI自動運転を搭載してる最新式の自動車である。

 マリアの執事も長年運転したが来年末から定年退職して運転免許も明日返納するつもりだった。

 その時叶わない事態が発生する。

 AIで自動運転する車が行き先とは別の高速道路に走る。

 その時に運転が徐々に左右ふらつきが出る。

 執事の爺やである彼は緊急運転停止装置やブレーキをかけたが止まらなかった。彼は慌ててハンドルを呼び出して握り閉めて動かそうとしたが無駄の足掻きだった。

 その時車はガードレールにぶつかり擦り付けて走る。

 そのガガガガガという金属鉄の擦れる音ーー。

 その時同席したマリアは思わずハッとする。

 その擦れる音の正体にーー。

 そして車は乗り上げて向かいの前方に走るダンプカーに前面衝突して横転して炎上した。


「6」


「真理亜」

 そっと私は彼女の名を呼びかける時、気づいたのか手を振る。

「おう!友紀も来てたのか?どうだったか?俺のたくましい姿」

 彼女は祭りに参加していて法被姿で焼きそばを召し上がっている。

 彼女は相変わらず女らしさも見せないワイルドさを見せる。

 意外と中性の顔立ちしてるから少年と見間違えてもおかしくない。

「よかっただべさ。それよりもどうすんだべ怪異談」

「ああ。明日からやるぞ。今度こそ大丈夫だからな」

 と、真理亜は意気込んでるが私はため息を吐く。

 彼女の名は野薔薇真理亜。

 私と同じく怪異談語りもやる良きライバル関係である。

 しかし、彼女の怪異談語りは少々変わっているからね。

 そんな私たちも打倒八木家を掲げてお家の再興を共に目指してるのだった。


「7」


 ーー「野薔薇ヤタノ教会」ーー


「主、マリア・カキハラの魂よヤタノカミに届けたまえ」

神父は祈りを捧げる。

そこにはなくなった彼女のために葬儀に参列した遺族及び多くの関係者がいる。

 その棺に眠る柿原真理亜の遺体に寄りよそい泣き喚く恋人佐藤綾。

 先日、彼女は交通事故により息を引き取った。

 あまりにも衝撃的な事故のため遺体は激しく損傷されており、思わず目を背けてしまうほどだった。

 そんな綾の背後から見守る彼女達はーー。

 柿原真理亜と執事の爺やだった。

 彼らの姿は誰も気づかれずそこにずっといた。

 そして姿も骸骨のような姿をしていたーー。

 そんな綾を見守る真理亜達は死者の國へ参る。

 そしてその迎え上がる彼ら集団は骸骨の騎士のような風貌の出立ちしていた。


 百鬼士夜行ー後日談ー マリア視点side 完

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