「シャルアさん、私の恋の話を聞いて下さいますか?」
「えぇ、ぜひ聞かせて下さい。」
「私の職場に、小林さんって方がいました。
その人は笑顔がとても素敵な人でした。
笑うと少年のように無邪気な顔になるんです。」
私は小林さんとのことをシャルアさんに話した。
シャルアさんは微笑みながら、とても楽しそうにそれを聞いてくれた。
ここには、映画もテレビもない。
本はあるみたいだけど、恋愛小説みたいなものはきっとないと思う。
だから、せめて私の話で、恋がどんなものなのか、それを伝えたくて...
たとえ、想像の中だけでも、シャルアさんに恋を知って欲しくて、私は一生懸命に話した。
「それで...『 もし、僕の勘違いじゃないなら付き合ってほしい 』っていうメモが入ってて...」
「そうだったのですね。
では、私がこちらへ呼ばなければ、あなたは小林さんとお付き合いが出来たのですね...」
「はい。でも、良いんです。
小林さんのことは確かに好きでしたが、多分...私の運命の人ではないと思うんです。」
「運命の...人?」
「はい。赤い糸で結ばれた運命の相手です。
異界には、運命で決められた男性と女性は、お互いの小指に結ばれた赤い糸で繋がっているという言い伝えがあります。」
「素敵な伝説ですね...」
その声には、なんとも言えない寂しさのようなものが感じられた。