「あんた、高町と付き合って合ってるの?」
一瞬間が開いた。
彼は書類を綴っていた手を止め、表情の読み取れない視線でこちらを一瞥してからもう一度書類に戻る。
「違うがどうしてそう思った?」
「昨日あんた隣町でデートしてたでしょ」
「いや、デート何てしてないぞ」
「高町といた事は認めるんだ。
じゃぁ何してたのよ」
「…逢瀬だな」
「結局デートじゃない」
「いや逢瀬とデートは違うぞ」
「はぁ?
何の違いがあるのよ」
「逢瀬と言うのは人に隠れて行うデートの事だ」
「デート含まれてるじゃない!
ってかあんたさっきから隠しているようで全然隠してないんだけどどういう事?」
「別にお前に関係のある事じゃないだろ」
「…まぁそりゃそうね」
そう言われてしまえば仕方ない。
私も書類に戻り十数秒。
「聞いてこないのか?」
「話したいの?話したくないの?どっちなの??」
「いや、お前が聞いてこないなら別に話さなくても良いから別にいい」
つまり聞いて欲しいのだろ。めんどくさ…。
「じゃああんた達隣町で何してたのよ」
彼は鼻で笑って書類に戻った。
―――
――――――
「いや、教えなさいよ」
「事の発端は三カ月前に遡る―――」
「結論教えなさい」
「秘密だ」
「ぶん殴るぞおい」
「ちなみに本当のことを言うと教えられん」
「なら隠しなさいよ」
「だが正直めっちゃ自慢したい」
ダメだ、こいつウザい。
私はそう思って書類に戻った。
「おい、もう聞いてこないのか?」
もちろん無視した。