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0818 輝く笑顔

池袋の東口、車道と歩道を分ける策に腰かけていると待ち人が来た。


俺が手を振ると彼は驚いたのかその場で立ち尽くす。


横断歩道が青になってもこちらに近づこうとせず、信号は再び赤になった。

仕方ないので電話する。


『ちょっと待て。

どうしたその恰好』

「ひでえ格好だろ」

『ひでえってか流石に引くわ』


そう言われても仕方ない。


俺の体は煤塗れ。

ホームレスの様に満身創痍であるもののホームレスとはまた違った汚らしさ。

道行く人の視界に入っては皆から二度見される始末。


『家が無くなったとは聞いてたけどまさか燃えたの?』

「燃えたよ、マジで全部。

サイフも携帯も燃えてマジで大変だったわ」

『良く大変ですんだな』

「お前が迎えに来てくれたからな。

ありがとうな良太」


離れた距離にいる弟に話しかければ彼は輝くような笑顔を向けた。

と言うか朝日が反射してしっかり輝いている。


『ごめん、兄ちゃん。

その状態で車乗せたくねぇわ』

「えぇー…」

『とりあえずドンキが開くまで待ってくれる?

そこでビニールシート買うから』

「ちょっと待って。

朝までここで待ってたのに更に二時間待たされるの?

兄ちゃん泣くよ」


青になる信号。

後ろを向いて地下駐車場に逃げ帰る弟。


火災と深夜の駅前の肌寒さに耐えて疲れた体に鞭入れて両手で燃え残りの入ったキャリーケースを引いて走り出すがもちろん追い付けるはずもない。



流石に満身創痍の兄を置いてく程弟も非情では無かったが車には乗せてもらえず、お金を渡されてネカフェで一眠りしてからユニクロに寄りつつ電車で実家に帰省することになった。


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