第8節 ラウル様
サーラ達は 町へ戻る しかしそこには 魔力に満ちた獣が放たれていた
やはり……星の傷からの 星の血です
あの獣は
カームが 唇を 噛んだ
神子様!我々でひきつけます
神殿の地下より
星の民の元へ
ラウル様も待機……
ラウル様
魔物に 果敢に挑む
大剣の主!
金の髪 金の瞳の 騎士
なりません!
ここは!
「構わんカーム殿!神子様と地下へ!」
制止するカームに 騎士はいい!
道を開いた!
さあ!
「いえラウル様あなた様こそ星の民のご嫡男」
「ごちゃごちゃいわれるな!カーム殿」
魔物は 巨大な鉤爪を ふりおろした!
ぎぃ……
大剣は ラウルの顔をうつしこむほどに研がれているが……爪の威力に軋んだ
「……」
サーラがある歌を歌った
過去世の創世の歌!
リンカの 遺した歌
緩やかに
あたたかに響いた声に 魔物が ぴたり 動きをとめた
ポロ……
弦の音が弾かれる度
ほどける魔物達
そして
サーラは 思いを込めて癒しと 創世を 束ねてうたった
「これは!この歌はまさか!星癒しの……」
ラウルが サーラを 見つめた
「さあ……」
そぅと……サーラが
音の羽衣にのせると
魔物はとけ 傷ついた人々は 癒されていった
正しく!
素晴らしい
この歌を歌いこなすなど!
過去の民ですらむずかしいはず!
ラウルは サーラの 右手を とると
己の 額へと サーラの 指を抱いた
「神子様どうかラウルと……」
「ラウル様」
「様など無用!ラウルと……」
星癒しを 歌える方
もうお会いなど叶わぬかと
「ただ束ねただけです」
「素晴らしい」
ラウルが 片膝をついた
「ラウル様こそ……星の民の」
「身に余る血でございます」
ラウルが 静かに 唇を震わせる
騎士として生きて来ましたが ここからは このラウル星の民として 貴女様を
そして 目をふせた
「私には歌うことしか」
サーラが言う
「貴女様がいて初めて星渡りの方舟は動くのですよ」
ラウルは 優しい目をした 青年である
サーラは ドクンと 心臓が 脈うつのをかんじた
その出会いはなんなのか?
サーラは しらない
ルーテルだけは サーラの 気配に 感じていた
年相応の 娘らしい変化を
「ラウル様」
ルーテルが ラウルを よんだ
「はい」
「サーラを どうか」
はい
私にできますなら
サーラを 守ってください
「かしこまりました!ご婦人」
「ルーテルです」
ルーテル様
「ルーテルと……」敬称は 慣れません
「はいルーテル殿」
敬語もいりません
気安くどうか
しかし……
「ラウル様」
了解したルーテル!
まいりましょう
ルーテルと サーラへの温度差に サーラの 胸は きりといたむ
なぁに?これ?
サーラの足元でリリーが ラウルと サーラの 影をつないだ