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続き

「くんくん……」

 リリー……サーラが リリーを抱いた

「きゃわん」

 ペロ……

 サーラの不安を知っているかのように舐める

「きゃん」

 ラウルが 手を伸ばす

「これはかわいい……おチビさん」

「リリーです」

 声に震えがまじる

「リリー百合とは?女の子ですね」

「はい」

 サーラは 目線を上げられない

 ラウルは臆することをせず真っ直ぐ目を向けて来る

「ご不安で?」

「いえ……」

 キツく否定してしまって失礼だった

 だけど

 見られない

 ドキドキする

 なんだろう

「まいりましょう神子様」

「いやです!」

「サーラ?」ルーテルが触れる

 パチッ!

 手を邪険に払う

「サーラと……」

 自分でもわからない

 なぜこだわってるのか?

「サーラと呼ばれるまでいきません!」

 神子様

 カームがラウルと顔をあわせる

「わかった……サーラ行こう」

 悟った声に胸がふるえた

「はい」

目を上げるとほほえまれてサーラが

 頬をそめる

 「まいります」

ルーテルが少し寂しそうに目をさげた

「ラウル様」

サーラが 噛むように名を呼ぶ

「ラウルと」

やり返される

「ラウル」

呼んで耳が熱い

「行こう」

ラウルが剣をおさめ

肩に背負った

銀の鎧の肩は逞しく

頭2つほど高い

「はい」

カーム殿!

城は籠城の様子

王はもう堕ちる

「神殿とで無事では済むまい

一緒にまいろう」

 ラウルがカームをよぶ

「いや民を捨てて行く訳には」

「カーム」

サーラが袖をひく

「神子様ご無事で」

墓碑の間の奥にカームと墓を見てサーラがもどりかける

「いくなサーラ」

カームは死を覚悟していた


「だめ!」

神官兵が石扉をしめる

カーム!

喉が切れんばかりによぶ

石扉は重く絶縁していた

「サーラ」

ルーテルが 懐から 手紙を出した

神子様

これを読まれるなら王都陥落と

戦は醜い

私も神殿と共にまいります

神子様泣きませぬ様

リリーの首輪に

星の叙事詩を忍ばせました

これを歌われたなら方舟の鍵となります

町は残すよう嘆願して逝きます

神子様

もどられたなら

民草をお救いください

あなたのカーム


「だめって!だめっていったのに!」

サーラが震えた

ダメつて!

サーラ!

ばし

サーラがルーテルの頬を打った

知ってたのね

だめっていったのに!

カーム!

がたがたと震える

ルキオは

サーラを宥めようと する

「見殺しにするの?」

ルーテルはいいのね!

いや

言えない

戦況を聞いて死ぬと聞いて

そうしてまでサーラを逃がせと言われたなんて

ラウル!

サーラが ラウルのマントをひいた

もどって!

開けて!

ねぇ!

サーラが泣き叫ぶ

その口にルキオが手ぬぐいをあてた

睡眠薬

遠く

意識が落ちる

ラウルが

サーラを抱き上げた

すまない

剣戟の 音

叫び!

神殿は落ち

リンカで神子も堕ちたと聞き敵は 神殿を焼いた

神官は見せしめとして処刑されカームは逝った

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