ー①ー
激しく鳴る雷雲。
雨は小降りだが地面のぬかるみは解消されてはいない。
シャンペトル達の激しい混戦なる中、ただじっと見つめるホープ。
彼の中に湧きあがる憎悪の眼光があった。
そして彼を本気にさせて一度切れさせたら魔剣使いさえでも手に負えないほどの強さを誇る。
ーー彼は"嫌がる弓戦士ホープ"
またの名を"切れる魔剣士ホープ"
一度魔剣使いと本気でやりやって半殺しにした経歴があるからだ。
それは大したことなく彼の相棒を一言バカにしたくらいで相手を斬り殺した。
だから、彼を本気でさせてはいけないと冒険者の間では持ち上がっていたからだ。
そして、彼は人気ない場所に移す。
シャンペトル達も気がついたのかホープの跡を追った。
ー②ー
ここは王座のある広間。
かつて魔剣者達の国の歴代王がこの大陸を支配していた。
しかし今は廃墟の場所になっている。
ここを好き好んで訪れる物好きはいない。
そして、王座を優雅に座る彼ホープ。
そこに彼の周囲には相棒の魔獣ネールとこの城に警護に当たっている彼のお気に入り騎士ならぬ
この木士団は特別な魔剣者達を吸わせている。
そう、実際に彼が生け捕りしてきた魔剣者の村人を吸わせた木士団であるからだ。
だからかなり木族達の中でも精度が良かった。
ちょくちょく魔剣者の村の人達に勘づかれてしまいホープ自ら魔剣者の村を消さなければいけない事態もその理由である。
「ホープ!」
ホープの前にしつこく現れる彼ら。
そしてホープはゆっくりと王座から立つ。
「はじめようか……。シャンペトル!!!!」
改めて彼との死闘が始まった。
ー③ー
ホープを率いる木士団はシャンペトル達に駆ける。
そこでシャンペトルは白の大剣を
そう、以前もう1人の同名シャンペトルから奪った"チカラ"
「マジ」
そしてホープも周囲に複数の魔法剣を呼び出す。
ホープの魔法剣は"マジ"と一言発声すると複数の魔法剣を呼び出して、"ギレ"を何回も唱えると周囲の敵を魔法剣で斬り刻むことができる。
そして最後に"ギレター"で一気に魔法剣放射してとばすことができる。
ほとんど戦闘は弓をこなしてるのは味方を意識して戦っているからだ。
しかし彼はその必要性はなかった。
何故なら味方はネールしかいなかったからだ。
遠慮なく戦えるので彼は本気でくる。
そう、彼はあと先も考えずに戦っていた。
シャンペルトと互角に戦えるほど戦闘が繰り広げられた。
ー④ー
「ボーイもシャンも激しくイチャコラしてるわね♡」
マックスはどこかで楽しげである。
彼もファーネとは戦闘狂ではないしろどこかで通じる物がある。
彼は常に筋肉を鍛えて自分の筋肉を武器にしてきた。
それも可能してるのは筋肉ではないーー。
彼は全身の強化怪力"チカラ"を持つ。
そして魔剣者の国の元戦士の末裔。
魔剣者と同等のチカラを持つ"
彼もまたシャンペトルと同等に魔剣者の村に因果関係があったが彼はどうでもよかった。
ーー彼は過去のことよりも今が大事だったから。
そう、彼は愛する我が娘のために戦うのである。
ー⑤ー
「いてて。こりゃあ折れてるな」
双子人形姉妹の両肩を支えながらも歩くロラン。
「あーー!?ご主人様あたいまだ斬り刻み足りねーよ!」
ファーネはまだ戦い足りないようだ。
「お姉様、仕方がありませんよ。変態ご主人様をこの場に置いていただくことはいけませんよ」
「おい!?俺は変態でもスケベでもねーぞ!」
と、フィーネは半分冗談くらい言えるほど余裕があった。
「ふふふ。あとで……」
と、棍棒受付嬢が一瞬言葉が途切れてしまった。その彼女の上空を飛び跳ねるソレ……。
「……ち、どうやら幸運のツキが切れたようだ」
ゆっくりと上半身崩れ落ちるロラン。
「ご主人様!?」
フィーネはとっさにロランに駆け寄る。
しかしフィーネの下半身がなかった。
「ちくしょーーーー!?殺してやる殺してやる!!!!」
ファーネも下半身がなくなっていた。
そして棍棒受付嬢のソレがゆっくりと落ちる。
そう、彼女の首が刎ねられてころころと転がった。
そして無惨にもその首は踏み潰されて割れた柘榴のように破裂される。
……その忍びよる黒い影の脅威が残りのシャンペトル達に待ち受けていた。
「グガガガガガガ」
ー⑥ー
「ク!?何故だ!!倒れろ!!!倒れろ!!」
ホープから焦りが見えてきた。
そろそろ魔力がつきるころである。
魔術師や魔法戦士には必ず魔力を消費して戦うことはもちろんことその消費量コストを念頭に考えて戦わなければならない。
そのため、シャンペトルも長期戦を考えて魔力消費を節費して戦っている。
しかしその対象的にホープは短期戦で一気に決着を挑もうとしたが相手がそこそこ上手であり、それに魔法剣の消費がかなり激しいので尽きてしまう。
無論、消費が少ない弓であれば善戦したかも知れない。
その冷静的分析の戦いに置いてその魔力切れを狙ったシャンペトル達に軍配が上がったのである。
そして、ホープはとうとう魔力切れに陥ってしまった。
魔力切れに陥ると脱力感やだるさなど一気に出てしまうので下手すると死に至る場合もある。
そしてホープはゆっくりと肩を息を鳴らしながら膝をつく。
自慢の木士団もほとんど倒されていた。
そして魔獣ネールもマックスの手で丁度倒されていた所である。
ーーもう、彼の周りに戦える者はほとんどいない。
「終わりだホープ」
「……」
……彼の命運はここで尽きた。
「何か言い残すことはないか?」
シャンペトルは死闘を繰り広げた戦士に遺言を傾けている。
そしてホープは倒された相棒を見て目を閉じて言った。
「僕の首を刎ねたら身体とネールを燃やして一緒に綺麗な海に遺灰を撒いて欲しい。ささやかな願いだけど頼めるかな?」
「……ああ」
シャンペトルはうなずき、ホープの首を綺麗に刎ねた。
彼は苦しまずにあの神の國へと旅立った。
もしかしたら、彼は戦士として死んで逝けたから本望だったかもしれない。
ホープと木族達の死闘がこれより幕を閉じた。
ー⑦ー
シャンペトル達はホープの遺体と魔獣ネールの死体を燃やす。
燃料は彼らの戦った木士団の死木を斬り取って使用されている。
彼らも戦士として戦ったので有効活用として利用されていた。
「ねー?シャンちゃん。丁度干し肉あったからそれも焼いて食べましょう」
「……そうだな。俺たちも何か腹に入れて置こう」
シャンペトル達は懐に身につけてる干し肉を焼いて召し上がることにする。
戦いから丁度1日が過ぎていた。
冒険者に置いて長期の戦いに備えて薬草エキス抽出した傷薬や携帯食料はかかせない。
マックスに至っては常に大量の干し肉を身につけている。
常に筋肉をつけるために肉を大量に欲して食べるからだ。
……と、焼いた肉を釣られて彼がやってくる。
「ジェイド来たか……」
シャンペトルの長年相棒ジェイドも近づいてくる。
そして、マックスは焼き上がった干し肉をジェイドにそっと渡そうとする……が、
ーーザシュ!とそこで斬撃音。
マックスは目を見開いてしまう。
ーー見事に斬られたのだ。
それを空中に舞うその首がーー、
シャンペトルの掴む黒い歪な剣が。
その首がころころと転がる。
「ジェイド……すまない」
シャンペトルはジェイドの首を綺麗に刎ねた。
そして、ジェイドの頭と身体周囲に歪な身体を形成する。
ーーその首なしの漆黒の恐ろしい異形な姿に切り変わる。
ー⑧ー
「グガガガガガガ」
シャンペトル達の新たな敵。
それは"チカラ"を喰らい尽くす存在。
「……どうやらあのあたりにいる彼らを取り込んだみたいね。……ロラン達も」
そいつの身体に彼らの"魂"が眠っていた。
ーー相手は"チカラを喰らい尽くす存在"
"
死者の剣王が"チカラ"を取り込もうとロラン達や木族達、そして賞金稼ぎ達をこの場所にいる魔物や獣達を取り込んだ存在。
そして、この戦いが新たな物語を産む始まりの序章でもあった。
「グガガガガガガ」
0134 BattleWinner!