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第11話

これはどういうことだろう?


王立貴族学院ってなんだっけ。

お貴族様が通う学校ってやつだっけ?

みんなで同じとこに集まって勉強するっていう。


そこの入学要項ってことは、アリサ・クロームズっていうお方がそこに通うことになるってことだよね?


クロームズっていうからには、領主様のご家族。

私と同じ名前なのが不思議ではあるけど、まぁアリサなんて珍しくも何ともない名前だしね。


領主様の家族構成は知らなかったけど、たぶん娘さんかあるいは妹さんかな?

どっちかはわからないけど、多分それで間違いない。


これらのことから導き出される答えは……あ!そうか!


「えっと、私はこのアリサ・クロームズ様が王都まで行かれる際の護衛をすれば良いということでしょうか?」


たぶんそうだよね?

入学要項を見るに、この学院ってのは王都にあるみたいだし。

それで、何かのきっかけで同じ名前の私が冒険者として活動してるのを知って、縁を感じて護衛に選んでくださったんだ。

それなら、まだBランクの私へと今回の話が来たのもわかるし、奥様がめっちゃ詳しく私のことを調べていたのも頷ける。

大切な家族の護衛にするんだもんね。そりゃそうするよ。


「あぁ、貴女はそういう解釈をしたのね。

なるほど……」


私としては自信満々に答えたんだけど、奥様は何故か苦笑いをしている。

後ろにいるローザさんなんて、額に手を当てて天を仰いじゃってるよ。どうしたの?


まぁいいや。

とりあえず、依頼の話を進めていいよね?

奥様も忙しいだろうし。


「それでは、護衛の詳細を確認しても宜しいでしょうか?

馬車での移動となると思われますので……」


私は行ったことがないけど、王都までは確か一週間くらいかかるはず。ここは辺境伯領の隣っていう国の中でも端っこ近くだからね。


でも、きっとお貴族様のお嬢様なら旅慣れてはいないだろうからもっと余裕を持って日程を組むほうが良いよね?片道十日くらいのがいいかな。

無事に送り届けてこっちまで帰ってくることも考えると、三週間……いや、一ヶ月は拘束期間があると考えとくかな。


となると、入学がいつかは知らないけどほかの護衛にも早めに声をかけた方が良いよね。

これは領主様方で見つけるのかな?

私が推薦しても良いなら、『辺境の淑女』のみんなとか何人か心当たりはあるけど。

あ、キャロル達は実力はともかくランクがCランクだからダメか。

それならAランクの先輩達に頼もう。


えーっと、後それから……。



「アリサ、アリサ落ち着きなさい」


「……へ?

あ、ごめんなさい!」


私がぶつぶつと護衛計画を立てていると、奥様からストップがかかる。

危ない危ない。つい張り切り過ぎてしまった。

奥様の意見もしっかり聞かないとだよね。


「張り切ってくれているところ悪いのだけど、今回の話は貴女への護衛依頼ではないのよ」


「はい、そうですよねって…………え?」


私への依頼じゃない?

だったらなんで私を……って、でもそうだよね。


「そう……ですよね。

確かにまだBランクでしかない私が受けて良いお話ではありませんでした」


つい浮かれてしまったけど、当たり前の話じゃん。

それならなんでって疑問に思う部分は多々あるけど、まぁお貴族様の気まぐれってやつなんだろうな。


「そういうことではないの。

貴女がBランクであるというのは関係ないのよ。

何故ならね……。良い?落ち着いて聞きなさい」


「はい……」


少ししょんぼりしてしまうのは許して欲しい。

だって、この話を聞いてお貴族様の依頼なんて本当に怖かったけど、それと同じくらいワクワクしてたみたいなんだ、私。


そんな少しやさぐれていた私の気持ちは、奥様の一言で全て一瞬にして吹き飛ぶことになる。


何故なら。




「学院に入学するアリサ・クロームズは、貴女のことなのよ」



そんな全く想像すらしていなかったことを言われたから。

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