カラスの鳴き声がして、そちらの方を見ると、カラスが何羽もいて、じっとこちらを見ている。
私はカラスに襲撃されないように建物に沿って足早にそこを通り過ぎる。
そんな苦労にもかかわらず、ブワッという音を立てて、カラスが頭のすれすれをかすめていく。
黒い影の向かう先を見ると、一羽のカラスがこちらを馬鹿にしてにらんでいる。
私は怖いようないらだつようななんともいい難い気持ちになって、その場にいられなくなる。
気づくとカラスの大群が後ろに見える。騒がしい鳴き声も聞こえる。
その後もどこまで行ってもカラスたちは追いかけてくる。
私の家の前まで来ても頭をかすめる威嚇をやめない。
私はほうほうの体で家に駆け込む。
家に入ってもなおカラスたちはカーカーと威嚇の声を上げ続ける。
私は恐怖で震える。
というのも、カラスは私の家を知ってしまったからだ。
私にもう逃げ場はないのだ。