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第15話 アメ

せっかちな私はアメを最後までなめ切ったことがない。いつも途中で噛んでしまうのだ。

そんな私にぴったりのアメがつい最近発売された。

なんでも、噛んでも噛んでも割れないらしい。

私は売っているスーパーに行ってそれを買う。

パッケージはよくある感じで、「かめん飴」と印字してあって、ポップな色合いだ。

レジに行くと、店員さんが呼び出しを押し、専用の店員さんを呼ぶ。

なんでも、注意が必要と法律で決められているらしい。

私は注意を受ける。①歯科治療中は食べない。②寝るときは食べない。③運転中は食べない等々。

私は食べられるなと思いながら、お金を払い、家に持って帰って、さっそく袋を開けてみる。

個包装を開けてみれば、縁日で売っているお面のような形をしている。

私は恐る恐るそれを口に入れる。

しばらくは何も起きない。ただのラムネ味だ。

しかしやはり噛み砕きたくなって、思わず噛んでしまう。

すると「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」とアラームのようにアメが叫び声を上げる。

そうかそれでかめん飴かと私は思う。これでは噛めない。

噛めないうちに、次第にアメが溶けていく。

小さくなって何も口になくなったとき、私はあることに気づく。

それは歯にアメがくっついていることだ。

それでその後、食事の度に「痛い痛い痛い痛い」と聞こえるようになる。

後でパッケージをよく見ると、うるさいので気をつけてお食べくださいと小さい文字で書いてある。

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