空を保存しようとして、私は空をじっと見つめる。
空はいつも移り変わっている。それを保存しようというのは、心を保存しようとするようなものだ。
あのときの感動も、あのときの好きだった気持ちも、あのときのワクワクももはや過去のことで、何一つ残っていない。
空にしたって、感動するようなきれいな夕焼けも、ワクワクするような青空も、目を離せなくなるくらいの満月も、もはや同じものはない。
一瞬、私好みだったとして、それが続くことはない。
しかし理性に従えば、空はいつでも満足すべきものだ。
曇り空も、雨の降る空も、雪の日の空だっていいものに違いない。
しかし私は心に空を保存する。
今日の空は晩夏の澄んだ青空で、胸がスッとする。そして、これを保存するなら、写真がいいだろう。
しかしファイルを見てみれば、何だか違うし、そもそも感動は保存されない。
つまり、それは私の記憶の中の空とはいつも違う。