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第20話 煙草

道を歩いていると煙草の箱が落ちているのを見つける。

手に取ってみると、中身が入ったままだ。

交番に届けるのは面倒に思い、私はそれを行き先であった職場に持っていく。

そして、捨てるに捨てられず、ロッカーに入れたままにする。

仕事が終わりロッカーを開けると煙草はなくなっている。

私は同僚や上司を疑い出す。というのも、この職場の人たちはみんな煙草を吸っているからだ。

とはいえ、自分の物でもないし、何にもできない。私はモヤモヤする。

しかし翌日も道で煙草を見つける。

私は同様に職場のロッカーに入れたままにする。

それもこれまた盗まれる。

こうなってくると、とても不思議だ。

鍵はかかっていたし、私が煙草を持ち込むこともわからないはずだ。それなのに2回も盗むなんて不思議過ぎる。

私はロッカーの前でしばらく考え、ふとある考えが浮かぶ。

数日後、案の定ある同僚が職場に来なくなる。

なんでも、体調を崩したらしい。

私はあの煙草に違いないと思う。あの煙草は薬物の売人がわざと落としたドラッグ廃人製造トラップだったのだ。

それ以来、煙草の箱を道端で見かけなくなる。

私は残念に思う。というのも、私はこの職場に恨みを持っているからだ。

みんなドラッグ廃人になってしまえばいいのに。

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