日の光が漏れ来るようなボロボロの部屋で、私は床に置いてあった埃まみれの本を手に取り、積もっていた埃を払い落とす。
光が反射してキラキラなる。神聖で厳かで落ち着いた眺めだ。
しばらくそれを見つめてようやく本に目を移す。
題名は「宇宙における光の直進について」。茶色いハードカバーの重たい本だ。
パラパラとページを開いてみるが、難し過ぎて何も頭に入ってこない。
部屋の中は物はそれほど多くないが、雑然としている。
私が部屋の中を移動すると床がギシギシ鳴る。
私は埃が手にまだついているのを気にしている。ザラついているのだ。
そこに人がドアを開けて入ってくる。
その人物はいきなり掃除を始める。
ハタキで上の方の埃を落とし、バラバラだった物を整頓し、床にはほうきをかける。
舞っていたキラキラした埃は次第に落ち着き、透き通った風が部屋の中を通る。
掃除をしていた人物はそうして出ていく。静寂が訪れる。
しかしまたしばらくして、今度は身なりの汚い背筋の曲がった人物が入ってくる。
すると部屋をすぐに散らかり始める。
棚にしまってあった本は床に置かれ、埃を被り始める。
私は「そうか世の中はこれの繰り返しなのか」と思う。
また埃が空中に舞い、キラキラ反射する。