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第21話 部屋

日の光が漏れ来るようなボロボロの部屋で、私は床に置いてあった埃まみれの本を手に取り、積もっていた埃を払い落とす。

光が反射してキラキラなる。神聖で厳かで落ち着いた眺めだ。

しばらくそれを見つめてようやく本に目を移す。

題名は「宇宙における光の直進について」。茶色いハードカバーの重たい本だ。

パラパラとページを開いてみるが、難し過ぎて何も頭に入ってこない。

部屋の中は物はそれほど多くないが、雑然としている。

私が部屋の中を移動すると床がギシギシ鳴る。

私は埃が手にまだついているのを気にしている。ザラついているのだ。

そこに人がドアを開けて入ってくる。

その人物はいきなり掃除を始める。

ハタキで上の方の埃を落とし、バラバラだった物を整頓し、床にはほうきをかける。

舞っていたキラキラした埃は次第に落ち着き、透き通った風が部屋の中を通る。

掃除をしていた人物はそうして出ていく。静寂が訪れる。

しかしまたしばらくして、今度は身なりの汚い背筋の曲がった人物が入ってくる。

すると部屋をすぐに散らかり始める。

棚にしまってあった本は床に置かれ、埃を被り始める。

私は「そうか世の中はこれの繰り返しなのか」と思う。

また埃が空中に舞い、キラキラ反射する。

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