私の自宅から10数分歩くと、昔通っていた高校があった場所がある。
というのも、いまは新しい校舎に替わり、古い校舎は壊されてしまったのだ。
昔の校舎は木造の二階建てで、体育館もトイレも教室も古かった。
あれくらいの古さなら、おばけが出てもおかしくなかった。
古さからいって、警報の類もついていなかったに違いない。
だから忍び込んで、肝試しなんかもできたろう。
そこには、女子高生のおばけが出る。そして、忍び込んだ男子生徒たちを誘惑する。
朝になって、先生たちが出勤するとそこには男子生徒の死体がある。
そして次の年には男子生徒のおばけが出る。
歴史は繰り返し、そして校舎の建て替えとともに終わる。
私は新しい校舎にも通った。そこはきれいで現代的でおばけの出る隙などなかった。
おばけたちはどこに行ったのだろう。成仏したのだろうか。
私はその道をたどりながら、そんな妄想をする。
春の午後のひとときに。