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第24話 居酒屋

酒を飲むことが時代遅れになってきたので、私は逆に居酒屋に行ってみる。

案内された席に座ると私は大きな声で「すみません」と店員を呼ぶ。

すると店員は不機嫌そうな顔で、「タブレットからご注文ください」という。

確かに各テーブルにはタブレットが備えつけてある。

私はしかたなくタブレットを触ってみる。

メニューらしきものが流れていく。とりあえずハイボールを注文する。ピンという音が厨房の方から聞こえる。

まもなくハイボールが運ばれてくる。提供は早いようだ。

ハイボールを飲みながらメニューを眺めていると、ナチョスがあるのを見つける。ナチョスは私の好物なのだ。家では食べづらいので、こういうところで食べたい。

またピンという音が聞こえる。

しかし、いつまで経ってもナチョスは出てこない。

私はまた大声で「すみません」と店員を呼ぶ。

店員はかなりご機嫌斜めで、「呼ぶときはタブレットの呼び出しを押してください」という。

来たんだからいいじゃないかと私は思っている。

私はすかさず「ナチョスはまだですか」と聞く。

すると店員は「ナチョス、だいぶ時間かかりますけどいいですか?」と不機嫌にいい返してくる。

結局、私がハイボールを3杯飲んだときにナチョスが運ばれてくる。

グラスが空になっていた私はビールを注文する。

店員が怒りを込めてビールのグラスを置いていく。

5千円くらい飲食した後、私は店を出る。当然見送りはない。

私は酔いながら電車に乗って帰る。

電車に揺られる中で、私は「結局、何が楽しくて居酒屋に行くのだろう」と考える。

怒られ、嫌な顔をされ、安い酒を飲みに行く。しかしおそらくは自分でそうしたものを用意するのはもっと面倒なのだ。

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