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第2話 置き去り

馬車で隣の隣の国・ベッセル国まで移動する為、馬車は休みなく走り続けていた。

今は経由地の砂漠の国だ。


地面はでこぼこだし、砂漠に近い平原が広がっている。

一本道と言えばそうだが、私はガタガタと揺れる馬車の中で気分が悪くなってしまった。


馬車の御者に言って、一旦馬車を止めてもらい、外の空気を吸いに行った。


だいぶ気分も良くなり、馬車に戻ろうとしたその時だった…!

馬車が颯爽と走り去っていったのだ…!


えぇぇぇぇぇ!?


どうゆう事!?


そうか!

あの馬車の中には私の貴重品が!


それが狙…い…


そんな…


私はその場に崩れ落ちた。


それから、1時間ほど平原を彷徨った。

水も無いし、砂漠に照りつける灼熱は私の体力を少しずつ、いや、急速に奪い去っていく。


最初こそ、平原だったが、彷徨い歩くうちに完全なる砂漠の中に居た…


あぁ、オアシスも無いし…


私ここで干からびて死ぬのね…


なんて人生だったのかしら…?


私は力尽きてその場に倒れた。


じわりじわりと汗が砂に吸収されていく。

あぁ、もうダメね…

私は死期を悟り、せめて神に祈った…


その時、何かの陰になったのか、ほんのり涼しくなった…

少しだけ、楽になる…


天国の入り口かしら…?


「おい、しっかりしろ!」


天使の声ってたくましいのね…?


そんな事を最後に思った…

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