馬車で隣の隣の国・ベッセル国まで移動する為、馬車は休みなく走り続けていた。
今は経由地の砂漠の国だ。
地面はでこぼこだし、砂漠に近い平原が広がっている。
一本道と言えばそうだが、私はガタガタと揺れる馬車の中で気分が悪くなってしまった。
馬車の御者に言って、一旦馬車を止めてもらい、外の空気を吸いに行った。
だいぶ気分も良くなり、馬車に戻ろうとしたその時だった…!
馬車が颯爽と走り去っていったのだ…!
えぇぇぇぇぇ!?
どうゆう事!?
そうか!
あの馬車の中には私の貴重品が!
それが狙…い…
そんな…
私はその場に崩れ落ちた。
それから、1時間ほど平原を彷徨った。
水も無いし、砂漠に照りつける灼熱は私の体力を少しずつ、いや、急速に奪い去っていく。
最初こそ、平原だったが、彷徨い歩くうちに完全なる砂漠の中に居た…
あぁ、オアシスも無いし…
私ここで干からびて死ぬのね…
なんて人生だったのかしら…?
私は力尽きてその場に倒れた。
じわりじわりと汗が砂に吸収されていく。
あぁ、もうダメね…
私は死期を悟り、せめて神に祈った…
その時、何かの陰になったのか、ほんのり涼しくなった…
少しだけ、楽になる…
天国の入り口かしら…?
「おい、しっかりしろ!」
天使の声ってたくましいのね…?
そんな事を最後に思った…