次の日、目覚めると、シャワーを浴びて、砂漠のドレスに着替えた。
ゔっ、胸が見えすぎている気がするし、足にも大胆なスリットが…!
私は落ち着かない気持ちでドレスの布を手繰り寄せる。
「おはようございます、セフィラ様。
朝食のご用意ができております。」
「あ、ありがとう…
え、これは…?」
「太陽の実のはちみつ掛け、サンドワームの肉のソテー、風の穀物の薄パン、でございます。
どうぞ、お召し上がりください。」
侍女は丁寧に説明する。
私はフォークとナイフを取った。
太陽の実は地球の柔らかいグミのような触感と味の果物で、はちみつの甘さが口の中に心地よい。
サンドワームの肉は脂が乗っており、口の中で溶けていく。
風の穀物の薄パンと合わせると絶品だった。
そんな砂漠の国の食べ物を堪能していると、ドタバタと足音がして、扉がバァン!と開けられた。
現れたのは、ファルーク様と同じだが腰まである銀髪を高くポニーテールにした超美形の男性だった。
ファルーク様もかっこいいけれど、こちらも負けていないわ…
などと、見惚れていると、彼は私を睨みつけてこう言った。
「あなたが噂の美姫ですか…
ハレンチな格好で、兄上を惑わしたのですね…?」
え、ハレンチ…?
いや、着たくて着てる訳じゃ…!
彼の燃えるアイスグレーの瞳が私の深い谷間を汚い物でも見るように侮蔑して見ている。
「あの…」
私は胸元を腕で隠しながらそう言った。
「僕はあなたの外見などに惑わされませんよ!
この女狐が!
この城から出ておいきなさい!」
「あの…」
私がそれしか言えずに居ると…
「やめよ!!!」
低いファルーク様の声が響いた。
「兄上…」
「シャリフ、誰の許可を得て彼女を城から追い出す?
太陽の威光は私にあるのだぞ…?」
「兄上…
いえ、我が王…」
シャリフ様という長髪の男性がひざまづいた。
「下がれ、皆のもの。
彼女と二人に。
シャリフお前もだ。」
ファルーク様が言う。
「…ッ…!
覚えていなさい!」
私にそう捨て台詞を言うと、シャリフ様と侍女達は出ていった。
「大丈夫か、セフィラ…?」
「はい、あの、ごめんなさい…」
「そなたが謝ることは無いよ。
私の方が悪かった…
あいつは…
シャリフは私の弟で第2王子だ。
あいつなりに心配しているのだろう。
私が女子をこの城に置くなど初めての事だからな。」
「そう…なのですか…?」
「そのドレス…
とても良く似合っているが、少し目のやりどころに困るな…
別の物に着替えさせるように侍女に言っておこう。」
「はい、ぜひそうしてください…!」
私は切実にそう言った。
これでは、痴女みたいだ。
「着替えたら部屋から出ておいで。
連れて行きたい場所があるのだ。」
そう言ってファルーク様は部屋から出て行った。