次の日、城の中庭の噴水の側で本を読んでいると…
言い合う声が聞こえてきた…
「だから!
彼女は帰さない!」
「兄上、目を覚まして下さい!
彼女にたぶらかされているんですよ!」
「なんだと!?」
ファルーク様と…シャリフ様…?
「兄上…
リザテーラの面積が0.5%減っているのですよ…
それなのに、あなたは異国の姫に入れ込んでいる。
僕は冷静に忠告しているのです。」
「リザテーラが…
そうか…
しかし、それとセフィラの事は関係が無いだろう?」
「いいえ、あの女は魔性です。
彼女が来た日に、湧き水が一つ枯れたんですよ?」
「偶然だろ?
そんなの。
私が生まれた日に嵐だったというくらいくだらない。」
ファルーク様の声がそう言った。
リザテーラの面積が減っている…?
つまり、砂漠化してるって事…よね?
そういえば…
私のスキル『液体』って…?
液体が現れる…?
という事?
不吉だから使うな、と言われていたけれど…
私はスキルを発動する為に意識を集中させた。
「あっ…!」
そう言った瞬間…
噴水から大量の水が噴き出した…!
「な、何事だ!?」
ファルーク様が駆けつける。
「噴水から、水が…!
一体なぜ…!?」
シャリフ様が驚いている。
「あの…
私のスキル…かも…?」
「はぁ?
何を寝言を言っているんです?
寝言は寝てからお言いなさい。」
シャリフ様が冷たくそう言った。
「待て、シャリフ。
話を聞こう。」
ファルーク様が言った。
「ありがとうございます。
あの、私はスキル判定で『液体』というスキルでした。
今までは何の事か分かりませんでしたが、どうやら液体の流れが分かるようなんです。
そして、その流れを変える事も…
今、私は噴水の下に通る地下水脈を活性化させたんです。」
私は言った。
「そんな…
ぐ、ぐ、偶然に決まっています…!
そんな水の女神ウェディルみたいな事があなたに出来るはず…!」
シャリフ様は相変わらず私を冷たい目で見て言う。
「しかし、この現実をどう説明するんだ?
私は…
彼女を信じるよ。」
ファルーク様が言う。
「では…
あなたをある場所に連れて行きます。
そこは最近湧き水の枯れたオアシスの街の一角です。
そこの湧き水を復活できたら、認めて上げましょう。」
「おい、そんな試すような…」
「行きます!
私行きますわ!」
私はファルーク様を制して言った。
そうして、第1王子のファルーク様、第2王子のシャリフ様、私、でリザテーラのある場所に向かった。
「リザテーラは、A地区からF地区まである。
湧き水が枯れたのは、最近砂漠化が進んでいるF地区だ。」
ファルーク様が馬車の中で説明する。