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第6話 スキル・液体

次の日、城の中庭の噴水の側で本を読んでいると…


言い合う声が聞こえてきた…


「だから!

彼女は帰さない!」


「兄上、目を覚まして下さい!

彼女にたぶらかされているんですよ!」


「なんだと!?」


ファルーク様と…シャリフ様…?


「兄上…

リザテーラの面積が0.5%減っているのですよ…

それなのに、あなたは異国の姫に入れ込んでいる。

僕は冷静に忠告しているのです。」


「リザテーラが…

そうか…

しかし、それとセフィラの事は関係が無いだろう?」


「いいえ、あの女は魔性です。

彼女が来た日に、湧き水が一つ枯れたんですよ?」


「偶然だろ?

そんなの。

私が生まれた日に嵐だったというくらいくだらない。」


ファルーク様の声がそう言った。


リザテーラの面積が減っている…?

つまり、砂漠化してるって事…よね?


そういえば…

私のスキル『液体』って…?

液体が現れる…?

という事?


不吉だから使うな、と言われていたけれど…


私はスキルを発動する為に意識を集中させた。


「あっ…!」


そう言った瞬間…


噴水から大量の水が噴き出した…!


「な、何事だ!?」


ファルーク様が駆けつける。


「噴水から、水が…!

一体なぜ…!?」


シャリフ様が驚いている。


「あの…

私のスキル…かも…?」


「はぁ?

何を寝言を言っているんです?

寝言は寝てからお言いなさい。」


シャリフ様が冷たくそう言った。


「待て、シャリフ。

話を聞こう。」


ファルーク様が言った。


「ありがとうございます。


あの、私はスキル判定で『液体』というスキルでした。

今までは何の事か分かりませんでしたが、どうやら液体の流れが分かるようなんです。

そして、その流れを変える事も…


今、私は噴水の下に通る地下水脈を活性化させたんです。」


私は言った。


「そんな…

ぐ、ぐ、偶然に決まっています…!

そんな水の女神ウェディルみたいな事があなたに出来るはず…!」


シャリフ様は相変わらず私を冷たい目で見て言う。


「しかし、この現実をどう説明するんだ?

私は…

彼女を信じるよ。」


ファルーク様が言う。


「では…

あなたをある場所に連れて行きます。

そこは最近湧き水の枯れたオアシスの街の一角です。

そこの湧き水を復活できたら、認めて上げましょう。」


「おい、そんな試すような…」


「行きます!

私行きますわ!」


私はファルーク様を制して言った。


そうして、第1王子のファルーク様、第2王子のシャリフ様、私、でリザテーラのある場所に向かった。


「リザテーラは、A地区からF地区まである。

湧き水が枯れたのは、最近砂漠化が進んでいるF地区だ。」


ファルーク様が馬車の中で説明する。

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