その後、シャリフ様の手が私の下半身に伸びたところで、馬車がテーラ城についた。
私は肩で息をしており、シャリフ様はそんな私を目を細めて眺めた後、衣服を整えて私を抱きかかえた。
「シャ、シャリフ様っ…!
あ、歩けます…!」
「どうですかね…?
まぁ、あなたくらい運ぶのはなんてことありません。
部屋まで連れて行ってあげますから。
ふふふ。」
あ、あやしい!
部屋に連れて行った後はどうなるのか!?
私はシャリフ様の胸の中でゾッとした。
しかし…
部屋にはファルーク様が来ていた。
「…なぜ、お前が抱えている?」
ファルーク様は低い声を一段と低くしてそう言った。
「いえ、力を使いすぎたようですよ。
だから、僕が抱えてお連れしたまでです。
では、僕はこれにて。」
シャリフ様は私をベッドに下ろすと、去って行った。
「セフィラ…?
大丈夫か?」
「え、えぇ!
この通り!
だ、大丈夫ですわ!」
「そうか…」
「あの…」
「ん?」
ファルーク様が小首をかしげる。
「シャリフ様とスラム区に行ってきたのです。
水は湧かせましたが、あのスラム区にはもっと経済的な解決策が必要だと…
あの、すいません!
でしゃばって!」
「いや、賢い姫は嫌いでは無い。
確かにそうだ…
あの地区で採れる特産品などがあれば、な。
しかし、そんな物は無いし。」
ファルーク様は考えこむ。
「そうですか…」
私も考えてみるが、良い方法は思いつかない。
「では、私も失礼するよ。
そろそろ、くだらない会議に出席しなくてはならないからね。
ゆっくりおやすみ、セフィラ。」
「ありがとうございます…
ファルーク様…」
なんとなく良心が痛んだ。
シャリフ様とあんなことをした後に話す気分にはあまりなれない。
それにしても!
シャリフもザイードも!
お前らは野獣か!!!
私はシャワー室に向かった。
そういえば…
液体って、水だけのことなのかしら…?
特産品…か…
もしも、コーラとかが出ればね。
大人気になるのになぁ。
でも、コーラはこっちの飲み物じゃないし…
無理か…
え、でも…!
やってみるべきじゃない…?
私はシャワーから上がり、コップの中に水を発現した。
水はできる。
それを飲み干すと、コーラを念じた。
すると…!
コーラが現れたのだ!!!
「まじで…?」
つい、地球の言葉になる。
これは…
砂漠では…
と言うかチートなのでは!?
あのスラム街で、コーラを魔法タンクに入れて、それを売ったら!?
きっと大儲け…
私はネグリジェのままファルーク様の元に走った。
「ファ、ファルーク様!」
「どうした!?」
「あら、噂の水の女神かしらぁ?」
ファルーク様の隣には、ダークブラウンの髪の大人っぽい美形が居た。
かしらぁ?って、オカマ…!?
「あぁ、コイツは第4王子のカリームだ。
お姉言葉はコイツの癖だから、気にするな。」
ファルーク様が説明した。