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第10話 スラム区を

その後、シャリフ様の手が私の下半身に伸びたところで、馬車がテーラ城についた。


私は肩で息をしており、シャリフ様はそんな私を目を細めて眺めた後、衣服を整えて私を抱きかかえた。


「シャ、シャリフ様っ…!

あ、歩けます…!」


「どうですかね…?

まぁ、あなたくらい運ぶのはなんてことありません。

部屋まで連れて行ってあげますから。

ふふふ。」


あ、あやしい!

部屋に連れて行った後はどうなるのか!?


私はシャリフ様の胸の中でゾッとした。


しかし…


部屋にはファルーク様が来ていた。


「…なぜ、お前が抱えている?」


ファルーク様は低い声を一段と低くしてそう言った。


「いえ、力を使いすぎたようですよ。

だから、僕が抱えてお連れしたまでです。

では、僕はこれにて。」


シャリフ様は私をベッドに下ろすと、去って行った。


「セフィラ…?

大丈夫か?」


「え、えぇ!

この通り!

だ、大丈夫ですわ!」


「そうか…」


「あの…」


「ん?」


ファルーク様が小首をかしげる。


「シャリフ様とスラム区に行ってきたのです。

水は湧かせましたが、あのスラム区にはもっと経済的な解決策が必要だと…

あの、すいません!

でしゃばって!」


「いや、賢い姫は嫌いでは無い。

確かにそうだ…

あの地区で採れる特産品などがあれば、な。

しかし、そんな物は無いし。」


ファルーク様は考えこむ。


「そうですか…」


私も考えてみるが、良い方法は思いつかない。


「では、私も失礼するよ。

そろそろ、くだらない会議に出席しなくてはならないからね。

ゆっくりおやすみ、セフィラ。」


「ありがとうございます…

ファルーク様…」


なんとなく良心が痛んだ。


シャリフ様とあんなことをした後に話す気分にはあまりなれない。


それにしても!

シャリフもザイードも!

お前らは野獣か!!!


私はシャワー室に向かった。


そういえば…

液体って、水だけのことなのかしら…?


特産品…か…


もしも、コーラとかが出ればね。

大人気になるのになぁ。


でも、コーラはこっちの飲み物じゃないし…

無理か…


え、でも…!

やってみるべきじゃない…?


私はシャワーから上がり、コップの中に水を発現した。


水はできる。


それを飲み干すと、コーラを念じた。


すると…!

コーラが現れたのだ!!!


「まじで…?」


つい、地球の言葉になる。

これは…

砂漠では…


と言うかチートなのでは!?


あのスラム街で、コーラを魔法タンクに入れて、それを売ったら!?

きっと大儲け…


私はネグリジェのままファルーク様の元に走った。


「ファ、ファルーク様!」


「どうした!?」


「あら、噂の水の女神かしらぁ?」


ファルーク様の隣には、ダークブラウンの髪の大人っぽい美形が居た。

かしらぁ?って、オカマ…!?


「あぁ、コイツは第4王子のカリームだ。

お姉言葉はコイツの癖だから、気にするな。」


ファルーク様が説明した。





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