それから、しばらくは平穏な日々が続いた。
そんなある日、城の長い廊下でカリーム様とすれ違った。
彼は考え事をしているらしく、いつもにこやかに私に挨拶するのに、そんな気配もない。
「どうかされたのですか…?」
私は性懲りも無く聞いてしまう。
「うーん、アタシねぇ、担当が式典と
「緑化…でございますか…?」
緑化と言うと…
「そう、つまり砂漠緑化…
近年このリザテーラ含む多くの土地は砂漠化が進行してしまっている状態なのよぉ。
それをどうにか元に戻せないか?って訳。
あなたのおかげで経済的にはだいぶ潤ったけれど、やっぱり砂漠化がねぇ…」
カリーム様は腕を組んで悩んでいる。
「そうですか…」
「…セフィラちゃん、何かいい方法知らないわよねぇ?」
「うーん、知識はあるにはありますが…」
前世地球で砂漠緑化のドキュメンタリー番組を見た事があり、その知識は多少あった。
「本当!?
ちょっと頭を貸してくれないぃ?」
カリーム様に頼まれて、私は部屋にカリーム様を招いた。
地図を見る必要があったからだ。
カリーム様はテーブルの上に最新のエリザテーラの地図を広げた。
「ほら、ここよぉ。
このリザテーラのF地区…
砂漠地区とも呼ばれるんだけどねぇ。
ここの砂漠化が酷いのよ。
しかもぉ、放っておいたら他の地域まで砂漠化する可能性が大きいでしょう?
なんとかここで食い止めて、緑化したいわけ。」
カリーム様は説明する。
「そうですね…
まず、カリーム様、砂漠緑化は不可能という事をご存知ですか?」
「はぁ?
そーなの!?
じゃあ、アタシの担当って何よ!?
意味ないじゃないの!」
「お待ち下さい。
「はぁ?
どう違うのよぉ?
その砂漠緑化と砂漠化緑化って…」
「説明致します。
まず、最初の砂漠土地とは正真正銘長い時間ずっと砂漠だった土地を指します。
対して砂漠化土地とは、人が暮らす事によって荒れ、資源が枯れ、砂漠化した土地の事です。
つまり、砂漠化土地は元々は砂漠じゃ無かった土地のことです。
そして、砂漠化土地を緑化する事は可能なんですわ。」
私はにこやかに言った。
「ふぅん…?
ねぇ、セフィラちゃんのその知識は一体どこから?」
「それは沢山の書物から、ですわ。
さて、それでは本題です。」
「え、まだあるの?」
「これから、砂漠化緑化する方法を具体的に説明します。
よく聞いてください。
ほら、メモを取るっ!」
「えぇ!?
はい、どうぞ、先生!」