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第9話 2025.06.21

さて、もはや週一回という更新の予定も守れなくなった日記である。

生活全般に於いて調子が悪いというわけではないのだが、最近はとにかく書くことに気が進まない。書き始めれば筆は乗ってくるのだが、そこにもってゆくまでの気合が必要だ。

というかそれとは別に、この日記に関しては書く内容が本当に思い当たらない……という要因が大きい。まあ日記なんぞ所詮そんなものであろうが。


最近はあまりインプットが出来ていない。毎週の惰性で聴いているラジオとYouTubeばかりだ。

最近というか近年……特にフィクションの物語を摂取することがしんどくなりつつある。単に加齢による衰えから理解が及ばないという部分もあるし、Twitterとショート動画によって受容にまつわる脳の回路がマヒしている、という部分も間違いなくある。

しかし最大の要因は“飽き”だろう。そしてそれを加速させているのは自分がある程度物語を考え書く側に回ってしまったからに他ならない。

物語を書く側を経験してしまうと、ある程度分析的に作品を観るようになってしまうのは必然であり不可逆だ。どんな悲劇的・感動的シーンを見ても「それが読者にどんな感情を与えようとして描かれたものなのか」という作者の狙いを探るのがクセになる。そしてその視点を手にしてしまうと、そうでなかった時の視点に戻ることは出来ないのだ。

というわけで何を見ても物語や主人公に深く没入して感情移入するということは難しくなってゆく。特に最近のエンタメ重視の作品はテーマ性自体に興味をそそられるものが少ない。エンタメを重視していない、いわゆる芸術系の映画で割と興味をそそられるものが多いのは、そうした枷が比較的少なく作者のエゴが生きているからだろう。


というのは前置きだ。別に創作にまつわる愚痴を今回は書きたかったわけではない。

そんなわけで、アニメなども気楽に楽しく観られるものではなくなってきた私は、寝る前には大抵YouTubeで動物の動画を見ることが日課になってきた……というのが今回の本題だ。




動物の動画を観るとなると猫だ。言うまでもなく猫だ。深海生物やシャチも興味深いし、ペンギンやフクロウも可愛いが、まあ残念ながら猫には可愛さの面で遥か及ばない。猫は可愛いのプロであり、可愛いさの本質とイデアを体現する存在だ。あそこまで可愛い必要あるか? 猫、やばくねえか?

しかし私も猫派として生を受けて数十年のベテラン。最近では普通のイエネコではなくネコ科のもっと大きな動物の動画ばかりを観るようになってしまった。

トラ、チーター、ユキヒョウ、サーバル、カラカル、ライオン、ピューマ、ジャガー、ウンピョウ、マヌルネコ、クロアシネコ……同じネコ科といえど実に様々であるとも言えるし、デカい猛獣でもその表情や仕草は「猫そのものやんけ!」というケースもある。

んで結局ヤツらネコ科の動物でお前は何が一番好きなんだ? 序列を付けろや!

とヤクザに絡まれたらこんなにも困ることは無い! その時々に於いて順位は変動するしヤツらの魅力はそもそも比較できるものではないからだ!

……とは言いつつ、やはり多少の序列は存在するだろう。


ライオンは『百獣の王』というレッテルが強すぎて昔からあまり好きではない。そもそもオスのあのたてがみがダサい。子供のライオンは死ぬほど可愛いし、夫婦間の悲哀なんかもとても味わい深いが、私のネコ科序列の中では下位になるだろう。


カラカルは3メートル近く垂直にジャンプして鳥をも捕食するというサバンナのハンターだ。ピクピクと多方向に動くデカい耳、そしてそれに付随する房毛が特徴的だ。子カラカル(これを読んだあなたは子カラカル子カラカル……と早口で10回唱えて下さいね)は死ぬほど可愛いが、人に飼われた成獣の人間に懐くという幻想を絶望させる獰猛な「シャー!!」という威嚇の声や、成獣のペルシャ貴族のような気難しそうな表情は“可愛い”とは程遠い。まあそんなもんは人間の身勝手な基準に決まっているが。


マヌルネコは中央アジアなどの乾燥地帯を中心に分布している小型の猫で、最古の猫とも呼ばれる希少動物だ。もっふもふの長毛、野性味あふれる仙人のような独特の風貌がとにかく特徴的だ。見たことない人はぜひ検索してみて欲しい。あんまり猫っぽくない印象を抱くかもしれないが、動いているところを見るとしっかり猫だ。


ストレートな可愛さの1位はチーターだろうか。

地上最速の陸上生物として知られるアイツらだがその鳴き声はイエネコそのもの。しかもスピードに特化したため実は戦闘力もあまり高くない。人にも馴れやすい性質で、アラビア貴族なんかが首輪を付けて散歩させている動画を見たことある人もいるのではないだろうか。

現地の人たちの認識も大きめのネコだよ……ということらしい。

私もそうした説を完全に信じきっているので、万が一どこかで野生のチーターと遭遇した際には、喜び勇んでナデナデしに近付いて襲われるのではないだろうかなどと時々思う。まあチーターに殺されるという死に方は中々面白い死に方だとは思うが。


純粋なルックスという点でチーターと双璧をなすのはサーバルちゃんであろうか。

圧倒的な小顔、長い美脚…ネコ界のスーパーモデルである。黒く縁取られたでっかい耳が特徴的である。ルックスばかりに目がいきがちだが、普通に身体能力も高いしイエネコに比べれば遥かにデカいので油断は禁物だ。


そして私の最推しは何と言ってもユキヒョウだ。

青い瞳、グレーのもふもふの体毛、ぱやぱやとした表情。子供のユキヒョウは卑怯なくらい可愛い。成獣になるとその表情は険しくなってゆくが、それもまた悲哀があって良い。

ユキヒョウはその名の通り中央アジアの寒冷な雪山に多く生息しており、雪景色に自分をカモフラージュさせて獲物に近付くハンターである。現地の人たちからは霊獣として崇め奉られる一方、家畜を襲う害獣とも認識をされており、絶滅が危惧される希少種となっている、

身体的特徴としては寒冷地仕様のもふもふの体毛、手足(手の平の部分)がデカい。そしてとにかく尻尾が長い。体長と同程度1メートル近い尻尾が最大の特徴だ。急峻な高山地帯で獲物を追ってファイトする際、この長い尻尾がバランスを保ち滑落を防ぐのに役立っているようだ。あと不安な時や手持ち無沙汰な時には自らの尻尾を咥える光景が目撃されている。可愛い。


イエネコは人間の生活圏に入り込み人間を支配することで繫栄してきた。

であるから当然人間好みのルックスやパフォーマンス持った個体がより選別されてきた、と考えらえる。

しかし野生のデカ猫ちゃんたちは人間に生活を左右されてはいない。なのに何であんなに人間好みの可愛さを持っているんだろうか? そんなに可愛い必要ないだろ!


最近はそんな感じでございます。

皆さんも広義の猫様に支配される喜びを噛みしめながら頑張りましょう。

ではでは、ごきげんよう~、にゃり~ん




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