義父の介護が終わったら離婚しろ、そう言った伯爵は妻だった聖女に破滅させられました
砂礫レキ
異世界恋愛ロマファン
2026年10月19日
公開日
1.5万字
連載中
「そんなみすぼらしい姿で伯爵夫人を名乗り続けるつもりか。恥を知れ、オディリア」
寝たきりだった義父の葬儀の夜、二十年間の介護から解放された妻に夫が与えた言葉はそれだった。
伯爵夫人オディリアは僅かな治癒能力と痛みを和らげる『緩和』などの能力を持つ。
貧しい男爵家の四女に生まれた彼女はその力を使い『安らぎの聖女』と呼ばれながら病院で働いていた。
しかし忙しいながらも患者に感謝され充実していた日々は数年で終わりを告げる。
レイモン伯爵家の当主である現夫ガスパールが強引で性急な手段でオディリアを妻にしたのだ。
無理やり処女を奪った後で求婚するという卑劣な方法で。
そこまでして彼女を妻に迎えたかったのは、一年前に落馬し全身不随になった父の介護の為だった。
治すことのできない痛みを日夜訴え続ける義父にオディリアは緩和の力で安らぎを与え続けた。
誰にも代わって貰う事の出来ないその仕事に彼女の二十年と若さは奪われた。
それでも義父から感謝の気持ちが伝わってきたからオディリアは耐えられたのだ。
けれど、彼の息子であるガスパールにはそのような気持ちなど一切なかった。
荷物をまとめて出て行けとオディリアに冷たく言い捨てたのだ。それが自らの破滅を招くとも知らずに。