作家インタビュー:タツダノキイチ——表現をするっていうことは、きっと自分を映す鏡だと思うんですよ。ネオページ編集部|2026年01月29日




――まず簡単な自己紹介からお願いいたします

タツダノキイチです。2023年6月16日に最初の作品を上げていて、書き始めたのはその1か月ぐらい前じゃなかろうかと思います。代表作は、書籍化もしているので『おっさん村長の辺境飯』になりますかね。


――ありがとうございます。最初に書いた作品が『おっさん村長の辺境飯』ですか

そうです、そうです。


――すごい!最初に書いたものが書籍化なさっているんですね

そうですね。パッと思いついて、やってみようと思ったら意外とできちゃったみたいな感じです。


――どういったきっかけでしょうか

コロナ禍にやることがなくて、なんかやってみたいなと思ってたんですけど、頭の中で考えているだけで実行はしなかったんですね。 で、前々から作家に興味があったので、なんか人生で一度ぐらいはやりたいことをやってみようと思って、一念発起した感じです。


――『おっさん村長の辺境飯』の読んで欲しいポイントをぜひ教えてください

表面的には美味しそうな食べ物とか、幸せな家族っていうのがテーマではあるんですけど、僕の中で持っている中心になるテーマっていうのは「家族とは何か」を意識して書いていたので、そこを読んでいただければなぁと思っています。


――なるほど、ありがとうございます。ネオページで連載中の『30歳から始める辺境領主~辺境開拓は異種族とともに~』についても、力を入れているポイントがあればお伺いしたいです

 動物が出てくると思うんですけど、その動物をよりかわいらしく書いたり、あとは主人公の人間性をちょっと穏やかにしてみたりっていう点には気をつけて書いたつもりなので、前作よりもよりほんわかした世界にはなっていると思います。 


――スローライフやグルメをテーマに選んだきっかけなどについてお聞きしたいです

スローライフものを書いているのは、単純に世知辛い世の中で、自分の思い描く物語の中ぐらいふんわりしていてほしいという思いがあって、スローライフっていうのも一つ、自分の願望も含めて選んでいるっていうところはあります。


――どういった時に構想が思い浮かびますか

基本的に、パソコンに向かっていると自然に思い浮かんではくるんですけど、どうしても思い浮かばないときには軽く昼寝をしますね。そうすると頭の中が整理されて、なんかパッと思いつくことはあります。


――なるほど。ではあまりスランプになったりはしないんでしょうか

そうですね。そこまで重篤なスランプみたいなのはないです。


――いいですね。キャラクターや作品の設定はどういった基準で決めていますか

なんとなく語感は大切にしてますけど、異世界っぽい名前だったら何でもいいかなというのと、あとは本当にイメージだけで選んでいますね。 例えば、『おっさん村長の辺境飯』で言うと、この「バンドール」っていう名前だったら、なんかいかにも親父臭いような匂いがしますし、そういうような感じですね。


――なるほど。ありがとうございます。例えばキャラクターやストーリーを作るにあたって、何か影響した現実の出来事はありますか

 現実は全く考えないですけど、真逆を描いているような感じですかね。自分がご飯に一切こだわりがなく、食べるのは嫌いではないですけど、普段からグルメを意識しているわけでは一切ない。 あとは、ゆっくりしたいけどゆっくりできない環境があったりするので、そういう自分が今置かれている立場から逆の理想をいくような世界を描いている感じです。


――そうなんですね。作家さんは夜型の方が非常に多いですが、タツダノさんは普段どの時間帯に執筆活動をなさっていているんですか 

 夕方から夜がやっぱり多いんですけど、僕の仕事が時間をきっちり守らなきゃいけない仕事ではないんですよ。自宅で作業もできるので、合間とかに小説書いたりとかもできます。 


――ではご自身でスケジュールをしっかり管理しないといけないですね

 そうですね。スケジュール管理は大変ですけど、趣味でやっていることなので、楽しくはやれています。


――そうなんですね、尊敬します。創作活動をしている中で、嬉しかったことがあればお伺いしたいです

やっぱり読者さんからの反応ですね。面白かったといわれると単純に嬉しいもので、その反応が励みになりますね。ここが良かったみたいなコメントを下さると嬉しいですね。


――ネオページを使い始めたのはどうしてでしょうか

DMをいただいて、書きませんかと言われて書いたみたいな感じですね。


――契約作家になって変わったことなどはありますか

基本的にはもう『おっさん村長の辺境飯』の連載がほぼ終わりかけてた頃だったので、新たに一つ作品を書くんだって思っただけで、そこまで締め切りが大変だったという思いはないですね。ただお仕事で書かなきゃいけないという、妙なプレッシャーは最初の方あったんですけど、慣れてくれば単純にウェブで連載しているものと変わらないというか。


――良かったです。担当がついて良かったなと思う瞬間はありましたか

やっぱり率直なご意見をいただけるので、もうすでに完成してしまった原稿をガラッと変えることは難しかったりするんですけど、 後の参考になるというか。例えばモフモフのキャラをもうちょっと立ててとかって言われて、モフモフ感を出してみようかとか、そういうようなことは参考になってます。


――では、ネオページをこれから使ってくださる方に向けて、おすすめできる点はありますか

表紙が付くっていうのは非常にいいかなと思いました。


――ほかにネオページに対する感想などがあればお聞かせください

そうですね、ランキングがいろいろあるのは面白いなと思って。それぞれ特色があるというか、読まれている数と応援されている数でちょっとランキングが違ったりするのがなかなか面白い取り組みだなと思って。


――ありがとうございます。ネオページでは、5万字に達すると契約申請ができるシステムがありますが、それについてはどう思いますか

そうですね、作家として食べていきたい人はもちろんやった方がいいと思うんですけど、ただ単に趣味で書いている人も、せっかくだったら契約すればいいんじゃないのかなと思いますけどね。お小遣いももらえるし、あと表紙も付けてもらえたりするじゃないですか。編集さんを通じて意見が聞ける機会ってのいうは、他のサイトだとないので、より自分の小説をレベルアップさせていくためにも、できるんだったらした方がいいんじゃないのかなと思いますけど。


――ありがとうございます。今書いているもの以外で、挑戦したいジャンルやテーマはありますか

いろんな主人公の話を書いてみたいなとは思っています。より人間が成長していく過程を克明に描けたらなと思っているので、これからも成長物語を中心に書いていけたらとは思っています。


――いいですね。これから作家として活動していく中での夢はなんでしょうか

他のコミカライズであったり、もっと大きく言えばアニメ化だったり、そういうメディアへの展開というのはもちろん嬉しいし、なってほしいなと思うんですけど、それよりも自分の納得するものをいかに書けるか、それをどれだけ多くの人に読んでもらえるかというところが主眼というか。 ただ、自分で満足しても読んでもらえないことには始まらないので、今みんなが読みたい本って何なんだろうって考えながら書きはするんですけど。それが自分の書きたいものと合わなかった場合には一切そっちには手を出さないというか。チートとか無双とかは、いくら流行っていても書かないですし、あとハーレムものも嫌いなので書きたくないですね。あとは人を貶めるようなものだったり、鬱な展開だったりってものも書きたくないので、結局自分の書きたい範囲の中でどうやったらより多くの人に受け入れてもらえるんだろうかというところのせめぎ合いみたいなのは常に自分の中で持っている感じはします。


――書きたいものが明確なんですね。信念を感じます

もともと好きだったというか、小さい頃に読んでいたのが山本周五郎さんとか、あとは池波正太郎さんとかの小説ばっかりで。特に山本周五郎さんが人間の生き方とか人間の本質みたいなのを書こうとしてるっていうのにすごく影響を受けているんだと思います。 


――なるほど、純文学が好きでいらっしゃるんですね

そうですね。ライトノベルで影響を受けた作品みたいなのはあんまりないと思います。 もちろん面白いと思った作品はいっぱいあるんですけど、こういうものを書きたいとかっていうふうに思ったことはあまりないかなと思います。もちろんアニメとかも好きなので、いわゆる大衆文学って言うんですかね。自分の好きなものとファンタジーの世界を合わせたらこうなったみたいな感じです。


――書いているジャンルはラノベだけど、中身や軸は純文学に影響を受けているイメージでしょうか

 そうですね。人間くさいというか、例えば『30歳から始める辺境領主~辺境開拓は異種族とともに~』でもそうですけど、ちょっと弱気なところが見えたり自分の信念に従って行動するんだけどちょっと迷いがあったり。なんというのか、人間味みたいな、いわゆるヒーロー像ではないところというか。迷いなく行動するじゃないですか、ヒーローって。そういうのとは違う、ちょっと人間らしい主人公を書きたいなぁと思っています。


――なるほど。自分の書きたいものが定まっている中で、それでもやっぱり失敗した経験はありますか

やっぱり後から読み返してみると薄い小説になってるなっていう。もっと書けるはずなのに全然書けてない。もっと濃いものが書きたいはずなのに全然薄い小説になってるというか。


――書き込みが足りないということでしょうか、それとも言葉選びに納得がいかないということですか

情景描写と心理描写が圧倒的に足りてないっていう自覚がありますね。例えて言うなら醤油の入ってない肉じゃがみたいな(笑) 


――それは薄いですね(笑) 逆に自分らしさが出ているシーンがあれば教えてください

 そうですね。大概の主人公が真面目なんですけど、ちょっと不器用というか、世渡り下手というか、そういうところは僕らしさが出てるなと思いますね。

 

――主人公が自分と似てしまうのかもしれないですね

似るわけではないですけど、自分の理想は詰め込んでますね。こうあるべきじゃないかな、みたいな所は詰め込んでます。


――では、過去に読んで面白かった作品などはありますか

アース・スターの『領民0人スタートの辺境領主様』とかですかね。主人公が非常に人間味に溢れていて好きでしたね。


――ヒロインと1対1なのも良いですよね

そうですね、そこが多分気に入ったところなんだろうと思います。ちゃんと1対1で向き合っている方が好きですね。ハーレムだと人と人が向き合って、ちゃんとお互いを認めていくみたいなのが描きづらいのかなというふうには感じるので。


――人間性や人間模様、その人の生き様や考えを描写なさるのがお好きなんですね。先ほど山本先生が好きとおっしゃっていましたが、子供の頃にハマった作品もそういったものが多いんでしょうか

 子供の頃、3世代で暮らしていて、テレビのチャンネル権は家長にある、みたいな家だったんですよ。もう僕らの年代で言うと、おじいさんは時代劇、野球ぐらいしか見ないんですよね。特にドリフとかそういうのも見ないわけではないんですけど、そういうのが多かったので、たぶん小さい頃からわりと渋いものに囲まれて育ったんじゃなかろうかと思う。


――ありがとうございます。 逆に最近チェックした作品はありますか

ウェブ小説はほぼ読んでないです。読むとへこみそうなのであまり読んでないですね(笑)読まれている作品って、自分とはレベルが違ったり、あと自分に絶対できない表現をしてたりするところがあるので、全く畑違いの本を読むようにはしてます。


――なるほど、面白いですね。 落ち込んだ時や気持ちを切り替えたいときは何をなさるんですか

スナックに行って人と話しますね。もう10年来通っているお店があって、昭和のスナックっていう感じのお店で、70歳近いおばあちゃんがママをやってらっしゃるようなお店なんですけど、常連さんが結構居ついてる店なんですよね。そういうところに行くとだいたい話す人がいるので、仕事とは全く関係ない繋がりの人たちと話すと良い気晴らしになるというか。


――いろんな方とおしゃべりをするのが好きなんですね

そうですね、 基本的に仕事以外で人に会わない生活を送っているので、週に1回とか2週間に1回ぐらいはそういうところにわざわざ自分から積極的に出て行って、お話をしないと本当に誰とも話さず1日が終わってしまう方が多いので。


――そこに出向くことがリフレッシュ方法なんですね。では執筆以外に趣味はありますか

それが全くないんですよ。なので小説を書いてなかったら本当に無趣味でつまらない人間だなと思うんですけど(笑)


――小説を書き出すまではどんな風に過ごしていたんでしょうか

今の仕事を始めたのが10年前で、それまではサラリーマンだったんですけど、その時の方が二次元をいっぱい見ていました。多分現実逃避したかったんじゃないですかね。


――お疲れでいらしたんですね、きっと

今の仕事を始めてから、おかげさまでちょっと忙しくてなかなか自分の好きなことをやる時間が取れなくなって、コロナ禍でふと時間ができたときに何もないってことに気がついて、温めていたものでやってみようと思ったみたいな感じですかね。


――なるほど、書き始めるまでの人生に色々詰まっていらっしゃるんですね

 そうですね。若い頃ですけど病気もしましたし、いろいろあって今の人生にたどり着いたので、年齢的にもいろいろ考えるタイミングではあったんだろうと思います。


――それでも一念発起して小説を書いて、本になりましたってすごいことですよね

そうですね。自分でもびっくりしています。


――これから作家を目指す方に向けて、タツダノさんから一言いただけますか

ライトノベルを書くっていうことをどう捉えるかっていうのは重要なことだと思っていて、商売として捉えるのであれば、売れる方がいいわけですよね。ただライフワークとして捉えるのであれば、ヒットすることよりも自分が納得できるものを書く方が重要なんじゃないのかなと思うので、ライトノベルだろうが何だろうが表現をするっていうことは、きっと自分を映す鏡だと思うんですよ。ありのままの自分で勝負できるようなものをお書きになられた方がいいんじゃないのかなと思います。


――いいですね。 では最後にタツダノさんのファンの方に向けたコメントをお願いします

最近の流行りとはちょっと違うような地味な小説を書いていて、勇者が無双するわけでもなんでもない話ではあるんですけど、ただ、読んでいて嫌な気分になることだけは絶対に嫌だと思っているし、読んでほっこりしてもらえる小説を目指して書いているので、一服の清涼剤じゃないですけど、人生の潤いの一つにしてもらえればなぁと思っています。


――今後のご活躍も期待しています! 本日はありがとうございました! 



30歳から始める辺境領主~辺境開拓は異種族とともに~ 30歳から始める辺境領主~辺境開拓は異種族とともに~ 異世界ファンタジー | スローライフ タツダノキイチ 222話 ほのぼの/転生/おっさん/ ブックマークブックマーク 今すぐ読む


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