
「宇宙一〇〇な小説!・・・たぶん!」レビュー募集企画に、たくさんの素敵なレビュー投稿をありがとうございます!
第12回のテーマ「ミステリー」に沿った作品に寄せられたレビューの中から、運営チームが特に魅力的だと感じてピックアップした4件をご紹介します!
①
投稿したユーザー 藤原ライカ
対象作品
探偵役・黒葛川幸平は名乗らない
ミステリー
|
推理・本格
ミステリアスシリアス謎解き
レビュー詳細
探偵役・黒葛川幸平を中心にストーリーが展開していく連作ミステリーです。
第2回ネオページ・サポート・プログラム賞(NSP02)の優秀賞に輝いた作品であり、当時は第1章タイトル『遺体の九割が密室で、残る一割は部屋の外』こちらが作品名に入っていました。
とにかく目を引く、タイトル勝ちの作品でした。
書店にならんでいても、ミステリー好きなら思わず手にとってしまう、秀逸なタイトル。
ネオページのミステリージャンルでこの作品をみつけたときのことを、今でもよく覚えています。
タイトルが目に飛び込んできて、読まずにはいられませんでした。
そして、期待を裏切らないプロローグの引きの強さ。
事件に絡むSNSの投稿を巧みに使っているので、読み手からすると新たな展開に目が離せなくなります。
また、凄惨な事件を解決するための手がかりや伏線が見事です。
個人的な印象としては、作者様は『WEB上で読まれる』ことをかなり意識されて、今作を執筆なさったのではないでしょうか。
犯人がだれで、真相がどうであったか。
謎解きの部分をあえて複雑にせず、ライトに仕上げたのではないかと思いました。
そう感じた理由としては、紙媒体であれば「あれはどうだったかな?」「あのときは、ダレとダレがいたかな?」とすぐに所定のページに戻ることができますが、WEB媒体ではそれが簡単にできない場合もあるので、あまりに複雑すぎる謎解きは、読み手のストレスになってしまうことを考慮されたのかなと、個人的には感じました。
作者様の筆力であれば、もっと本格的な推理ものにもできたし、複雑な背景、展開を入れても、完璧な伏線の回収ができたと思います。
それくらい構成が巧みで、文章にも余裕が感じられました。キャラクターたちの魅力もいっぱい。
現在は第3章が連載中です。こちらも、とても面白い。
章ごとに趣のちがうミステリーの魅力がつまっていて、ミステリー好きにも、そうでない方にも、ぜひともオススメしたい作品です。
②
投稿したユーザー ミスミシン
対象作品
トレジャーハンター・トリスメギストス
ミステリー
|
警察・探偵
ロンドンギリシャ神話
レビュー詳細
重厚な「当時」を感じさせる異能力?ミステリーです。
20世紀初頭、コナン・ドイル、コティングリーの妖精、切り裂きジャック、ホープ・ダイヤモンドといった「お好きな人なら知っている」要素がふんだんに盛り込まれています。
コナン・ドイルが登場するミステリーは数あれ、「コティングリー」の名前が出た所で嬉しくなり読み進めていき、その世界観に魅了されました。
そしてタイトルにある「トリスメギストス」。絶対好きなやつだ、という確信を持って拝読しました。
舞台は二十世紀初頭のイギリスですが、当時のけぶるような重さ、灰色っぽさ、夕闇っぽさを文章から感じ取れます。
特に好きな電車内のシーンでは、手配りチラシ等で当時の雰囲気も感じ取れます。
ストーリーはまだ冒頭。あらすじの中に登場するキャラクターの中で登場していないキャラも居ます。
それが今から楽しみです。
ミステリとオカルトと混ざりあった雰囲気は、登場人物からだけでなく世界観、そして文字そのものから浮かび上がること間違いなしです。
このレビューの文字列の中で一つでも「知っている」ものがあったなら、読んでも絶対損しない作品です。
③
投稿したユーザー 山菜そば
対象作品
記念殺影
ミステリー
|
推理・本格
ミステリアス切ない不思議
レビュー詳細
ミステリーのショートショート。どうまとめるのかな?と気になって読んでみたら「うぉ」と声が出ていました。
最初に謎があり、主人公の推理が入り、開示があり、結末へ向かう……
しかしその結末は!と、この文字数でサスペンス&ミステリがぎゅっと詰まっている怪作です。
初見、「うぉ」と声を出してからもう一度最初から読みました。そして、合間合間にある謎を拾うのが楽しいこと楽しいこと。
いやーこれ、読んで欲しい!という気持ちになり、すぐ人に紹介してしまいました。
面白い、というのも違う。
悲しいも、切ないも、違う。
面白いって言っていいのか!?と思いつつ好き、ってなったのはミステリの中では初めての経験でした。
どうか一度読んで、結末にひっくり返されて、もう一度頭から読んで欲しいです。
細かいことはネタバレに繋がりそうなので曖昧な書き方しか出来ませんが、絶対に二度読んでしまう作品。
まんまとひきこまれました。
④
投稿したユーザー 田鶴
対象作品
三十六人めの被害者:The Untold Story of SERIAL KILLER Jonny Sogard
ミステリー
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サスペンス
ヒューマンドラマアメリカ殺人事件
レビュー詳細
本作は、1970年代のアメリカを舞台とし、古き良きアメリカの刑事ドラマか推理小説を彷彿とさせる魅力があります。しかも普通の推理小説とは違って、本作ではタイトル通り、最初から犯人が分かっているのがユニークです。それでも読者を退屈させることなく、捜査側と犯人側の視点を交互に描いており、あたかも1人称小説のように、読者は両者の心境をより身近に感じることができます。
第一章scene 2で説明されている通り、本作の舞台となった1970年代にはデータベースもなく、紙の資料が全てであり、警察の管轄が違えば、情報交換もままなりませんでした。そんな時代の捜査は、捜査担当者の経験と勘が全てでした。本作主人公のFBI捜査官のサムもバディのネッドも正にそうで、人間臭い魅力にあふれています。
サム達が1年以上捜査しているのは、1972年12月からオハイオ州シンシナティ周辺で起きた若い女性の連続殺人事件です。彼らがたどり着いた犯人の目星は、ハンサムな金髪の青年ジョニー・ソガード。ジョニーは、どこで誰に聞いても悪く言う者がいない好青年でした。1974年から1978年にかけて全米で現実に起きた若い女性の連続殺人事件の犯人テッド・バンディも、ハンサムで一見好印象を持たれる青年でした。でもテッドが法廷で自ら弁護するほど弁が立ったのとは対照的に、ジョニーは内気で吃音があって学生時代、いじめられ、新しい雇用主の下で職場に慣れるのにも苦労します。このようなジョニーの気の毒な背景は、読者の同情を誘い、想像の余地を持たせる本編と番外編の結末も相まって切ない気持ちも起こさせます。
本作の舞台となっている1970年代前半には、シリアルキラーという言葉はなかったそうです。元FBI捜査官のロバート・K・レスラーが連続殺人事件の犯人テッド・バンディを指してこの言葉を使い始め、それが広まったとのことです。その他にも、本作は当時のアメリカの文化や事象を随所で解説してくれており、それも楽しめます。
本作の続編にあたるJ/S&Nシリーズ第二弾として、サムがFBI定年後に探偵として活躍する『MISSING:探偵サム・マクニールの事件簿』もあります。こちらも読むと、より楽しめるでしょう。
当選および賞品受け取りについて
レビューが選出された方には2025年8月中にサイト内のメッセージにてご連絡いたします。Amazonギフトカード送付は、2025年9月頃を予定しています。
※諸事情により、賞品の発送が遅れる場合もございます。
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