あらすじ
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かつてアニメや少女漫画を中心に存在感を放っていた「男装女子」──中性的な装いと振る舞いを持ち、女性でありながら男性的属性や美学を体現するキャラクターたち──は、2020年代の視覚メディアにおいてほとんど姿を消しつつある。本論文は、この表象の消失を「文化的現象」として捉え、その背景にある視覚的欲望の変容、キャラクター消費構造の変化、そしてジェンダー規範の再編成を多角的に検証する。 まず、宝塚的理想像から90〜2000年代アニメにおける“中性美”の成立までをたどりつつ、男装女子が果たしていた「女性の中のもう一つの理想」としての役割を整理する。続いて、表象が細分化・属性化されていった過程、現代における“曖昧性”の忌避、萌え系ヒロイン像の強化、フェミニン回帰、そして男の娘やクィア系男性キャラへの代替的転移を分析する。 そのうえで、「男装女子」の衰退が単なるジャンル消失ではなく、メディアが提示する“女性のあり方”の再定義を象徴していることを論証する。また、筆者自身の感性を通じ、失われた中性美に対する個人的喪失感も提示しながら、今後その表象がどのような文脈で回帰し得るのかを展望する。 この論文は、視覚メディアにおけるジェンダー表象の推移を追うとともに、フィクションの中に投影される欲望と規範の変容を明らかにする試みである。閉じる
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