祠、見たことか・・・・・・
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あらすじ
詳細
前作『祠みたことか・・・・・・』の完全版になります。市之瀬奈津子はテレビ番組制作会社のAD。ディレクターで恋人の神谷佑樹とカメラマンの澤村亮の三人で、因習村企画の下調べとして地方の集落を取材する。そんな中、奈津子はロケハン中に、過って村外れにあった祠の位置をずらしてしまう。村長でもある奈津子の父は、祠の話になると急に不自然な態度を見せ始めた。彼の話によると、祠は戦時中にすず江という女が見嶋という男に殺害され井戸に放りこまれ、その魂を鎮めるために建てられたのだという。幸いなことに祠の位置はずれたものの、封印自体は剥がれていなかった。ところがその後、奈津子の周囲では不可解な出来事が起こり始める。偶然とは思えない現象、理由なき澤村の失踪、そして耳ではなく文章や思考の隙間に割り込んでくる正体不明の「声」。それらは日常の延長線上で静かに重なり合い、奈津子の感覚を徐々に侵食して行く。その後澤村の乗った車輌が村の谷間で発見され、佑樹と奈津子は再び村に向かったのだが・・・・・・。閉じる
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創意工夫ありし者創意工夫ありし者2026-11-02 09:34ネオ・デビューネオ・デビュー2026-11-01 23:00作者のひとりごと作者のひとりごと
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順番の外にいる読者
順番の外にいる読者大学の研究サークルで、陸谷は一通の手紙を受け取る。差出人は同じサークルに所属していた沙莉。だが、その封筒には名前がなく、受け取った覚えもなかった。読むつもりのなかったその手紙には、誰にも言っていないはずの出来事が、淡々と書かれていた。沙莉は、少しずつ周囲から姿を消していく。大学では「連絡が取れない学生」として扱われ、警察も事件性を見出さない。非通知の電話や、意味を含んだ言葉が続いても、それらは「問題として成立しないもの」として整理されていく。陸谷は、沙莉の手紙を読み続ける。そこには、彼女自身の不安や違和感だけでなく、「読む側」に向けられたような言葉が混じり始めていた。まるで、彼女は“読まれること”を前提に、自分の消失を記録しているかのようだった。  次第に陸谷は気づく。自分は沙莉の当事者ではない。家族でも、恋人でもなく、責任を負う立場にいない。ただ、手紙を読んでしまっただけの人間だということに。  大学や警察といった「正しい人たち」は、何も間違えない。だが、その正しさの中では、沙莉の不在も、手紙の意味も、誰にも拾われないまま通過していく。  読むことは、行為として数えられない。それでも陸谷は、読むことをやめられない。そして、読んでしまった人間が、どこにも記録されない存在であることを知る。  これは、誰かが消えた物語であり、同時に、「読者」という立場が、どこまで無関係でいられるのかを問う物語である。