イナゴよりもたちの悪い勇者による度重なる略奪により、深刻な貨幣不足へと陥ってしまった魔王軍。その世知辛い台所事情を、造幣局目線で描いた1作。
過労イケメン上司に想いを寄せ、妄想が暴走しがちな主人公ミリアによる語りはとてもコミカル。
しかしながら、改鋳や紙幣導入に際するリスクなど現実経済にも通じる要素が、敵を倒すとなぜかお金を落とすRPG的な世界観に上手く落とし込まれています。
勇者によって魔王軍は窮地に陥るものの、どんでん返しの一手は造幣局ならではのもので……。
悪役(勇者)を倒す逆転劇が展開の軸となりつつも、「ざまあ」や「スカッと」系のような刺激的な描写は無いので、ほっこりとした読了感のコメディ作品として読むことができます。