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これは詩である。 第一詩では夢を抱いた若者の詩だった。 最初のこの詩が私にとって非常に印象深かった。 若者にはそれぞれ「夢」があるだろうが、成長過程において様々な否定という「言葉」をぶつけられ壊されていく。 いつしか、夢を諦めるか、隠すか、忘れるかの何れかをとるしかないのだろうが、この若者の場合は「隠す」という選択肢をとったようだ。それが「おれは誰にも夢を語らない」という言葉に現れている。 しかし、この主人公はそれでも内面では葛藤があるようだ。 例えば「風が吹いてる」「潮の香りだ」といった台詞。 おそらくだが、感情の整理をつけようとする主人公の心情を表しているのだろう。 また、最後の展望台へ向かう描写であるが、自分自身との対話や内面の葛藤を象徴しているようで、物理的な登りと心の葛藤が重なり合っているのが印象的である。 全般的そうだが、若者らしい人生の壁との戦いが「エグみなく」「嫌味なく」かといって「説教くさくない」自然に謳われていた。 話は脱線するが、尾崎豊の「15の夜」という歌に「盗んだバイクで走り出す」というものがあった。 この詩の内容は、違った形であるがそれと何故か私の中で重ね合ってしまった。 そう、青春とは自己と社会との葛藤だ。その中で人は大人へと成長していく。 昨今、Web上での創作物は何かと大きな力を得るなどして、問題を先に克服していく描写が多くなってきた。 だが、この『展望台の階段』は主人公が思い悩む姿を詩という短いフレーズで現していた。 すぐに問題を解決していくのではなく、自分自身との心の葛藤を描きながら徐々に成長していく様を描いているところが良いのだ。 最終的には自問自答、思い悩みながら進み「自分を苦しめていたのは自分自身」「慌てなくてもいい」と「全てを誰かのせいにしていた自分」に気づき成長していく姿は尊い。 これこそ若者、いや我々自身が目指していくものではないだろうか。 この主人公のように戦いから逃げず、考え続けながら成長していきたいものである。
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展望台に導かれて詩と物語が夏の涼風のように流れます 【★★★】 ポエム形式で物語が綴られますが、透明感のあるパステル調の情景が鮮明に浮かびます。 そうした情景の中心にある展望台は理想的な展望台で、おそらく人それぞれの胸にある展望台は姿形が違っているだろうと思います。 非日常を求め展望台に向かいますが、向う道中も展望台からの眺めも、過ぎゆく季節もすべての瞬間が大切に思える貴重な時間であることを思い出させてくれます。 錆びて汚れた心が炭酸の泡でシュワシュワと浄化されるような気持ちよさがあります。 展望台というモチーフが何か人の本質やアンチテーゼの象徴のようにも思えました。 とてもオススメの作品です。 ぜひ皆さんも展望台へ向う一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
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