「ねぇねぇメディさん」
『あ?なんだ』
「今回はちょっと………………うーん、ハス君には聞かせたくない質問していい?かな?」
『………………おお』
「人外者はさ、自然から生まれるんだよね?ハス君は最初人間の子供として生まれたって聞いたんだけど…………」
『…………ああ、なるほど。ちょっと面倒だがちゃんと聞いとけよ』
「はい!」
『まずな、人間を無理やり人外者にするのは奴隷商だけが出来る……禁術みたいなもんだ。奴隷商全員が出来るわけでもないが、された側に拒否権はない。奴隷は奴隷商に逆らえないからな。ただ、相手が反発しない場合にのみ有効。様々な恩恵や祝福、研鑽を繰り返してきた奴隷が強い場合、その禁術を攻撃魔術だと思い体が無意識に反発するらしい』
「………………ふむ」
『どうやって開発したのか、その魔術は秘匿されているんだがな、とにかく白を作るための秘伝中の秘伝だって話だ。人間は特に人外者の奴隷を欲しがる。端的に強ぇからな。見た目もか。でな、やっぱり素直で従順な方が好まれる』
「…………うん」
『だがな、人外者は派生した瞬間から個があり自我がある。生まれた瞬間セルジオがいるってこった』
「おお、わかりやすいね」
『だからな、いくら人外者の奴隷が欲しくても奴隷紋である程度の制約があって言うことは聞くが、人外者はそうそう簡単に頭を垂れない。生まれたばかりだろうがなんだろうが人外者を素直で従順な奴隷には出来ねぇから、生じたばかりのまだ比較的力の弱い人外者を喰わせることで、無理やり契約し力を継承させたって訳だ。人外者は従順素直とは違う。だから、白を作るのに人間の性質と人外者の外見や能力を融合させやがった』
「……………………喰う?」
『要は力の継承だ。喰わせんだよ、人間に妖精を。移民の民のお前ならわかるだろ?ただの人間の奴隷商が、なんでそこに行き着いたか分かんねぇけど、それを可能にしやがった』
「!!」
『赤ん坊に奴隷商の土地で生じた妖精を…………まあ、やり方はグロいから言わねーけどよ』
「………………ハス君も?」
『だな。元は人間の赤ん坊に森の妖精を喰わせたんだろ。白の奴隷紋には2つの魂を繋げる役割も果たしてるんじゃないかって憶測だな。そこら辺は詳しくは知らねーよ。これで、妖精の力と外見を手に入れた人間……白の奴隷の出来上がりだ。ただし、その過程で無理矢理にどこか欠けたりした場合は、灰などに落とされる』
「…………………………そんな」
『白の奴隷っていって持て囃されるがな、商売道具として作り替えられた人形みたいな扱いだって事だ』
「……………………もっと大事にしないとね。ハス君も、ハス君の中にいる妖精も。丸ごと抱き締めてあげたいよ」
『………………そうだな』
有言実行したら、嬉しそうに微笑まれて尊死した。