「グスタフ先輩……!」
「グ、グスタフさあああああん!!!」
「にゃあああああああああああ!!!」
「グスタフ、お前、男だぜ……」
「グスタフさん、ご立派ですわぁ……」
『ニャッボリート』
わたくしがドッペルゲンガーから得た情報をみなさんに伝えると、場は深い悲しみに包まれました。
特にレベッカさんは、入団当初からグスタフさんには頼れる先輩としてずっとお世話になっておりましたので、滝のような涙を流しておりますわ。
もちろんグスタフさんにお世話になったのはわたくしも同様ですので、今にも涙が溢れそうです。
――ですが。
「みなさん、お気持ちはよくわかりますが、今はまだ任務中ですわ。グスタフさんも、我々が悲しみで剣を鈍らせるのは望んでいないはずです。ここは今一度気を引き締め、グスタフさんに負けないよう、我々は我々の役目を果たしましょう」
「ヴィ、ヴィクトリア隊長……! そうですよね……! 悲しむのは、この戦いが終わってからです! じゃなきゃ、天国のグスタフさんに笑われちゃいますから!」
レベッカさんは、腕でゴシゴシと涙を拭いました。
ウム、それでこそレベッカさんですわ。
「むしろ今のこの状況は、千載一遇のチャンスですわ。王都のみなさんが【
「はい、賛成です」
「このメンバーなら、絶対勝てますよ!」
「ボクもサポート頑張るにゃ!」
「……俺も現役時代にやり残した仕事を、キッチリ片付けるぜ」
「あらぁ、こんなオバサンじゃお役に立てるかわかりませんが、頑張りますわぁ」
『ニャッボリート』
よし、そうと決まれば、後はやるだけですわ!
『ニャッボリート』
「「「――!」」」
その時でした。
ニャッポの視界に、マウンティア山脈の頂上にある魔王城が映りました。
あれが、【
さあ、いよいよ最終決戦ですわ!
「ニャッポ、【
『ニャッボリート』
ニャッポは低空飛行で、ゆっくりと魔王城に近付きます。
流石ニャッポですわ!
ニャッポが周囲を警戒しながら、いよいよ城まであと少しというところまで来た、その時でした――。
『ニャッボリート』
「「「っ!!?」」」
城の入口辺りから伸びてきた、
これは――!?
『ニャッボリート』
「「「――!!」」」
堪らずニャッポは、その場に墜落してしまいました。
ですが地面にぶつかる直前、わたくしたちを外に出してくれたお陰で、わたくしたちは無傷で着地することができたのですわ。
「ニャッポ、大丈夫ですか!?」
「ニャッポリート」
「ニャッポ様、今回復しますにゃ!」
いつもの可愛らしいサイズに戻ったニャッポは、フラフラしながらも定位置であるわたくしの左肩にちょこんと乗ったのでした。
そんなニャッポに、すかさずボニャルくんが回復魔法を掛けます。
よかった、傷は浅いようですわね……!
「クカカカカ! 久しぶりだなぁ、【
「バルタザール……!!」
そこには不快な笑顔を浮かべた、バルタザールが立っていたのでした――。
クッ……!
「何故わたくしたちが近付いていることがわかったのです?」
今のバルタザールは、明らかにわたくしたちを待ち伏せておりましたわ。
バルタザールたちは、わたくしたちに根城の場所がバレていることは知らないはずですから、本来なら待ち伏せは不可能なはず……!
「クカカ! そんなの当たり前じゃねぇかぁ。昨日オレを、
「「「――!!」」」
そんな――!
バルタザールは、リーヌスさんに尾行されていることに気付いていたのですか――!
「ちょうどいいと思ったんだよぉ。この場所が王立騎士団にバレたら、きっとお前が会いに来てくれるって信じてたからなぁ、【
だからわたくしと貴様は赤の他人だと、何度言えばわかるのです!?
この場には他にも人がいるのに、どうやらわたくしのことしか見えていないようですし……。
さっきも言いましたが、何故わたくしの周りには、こんなにキモい人間が多いのでしょう……。
わたくし前世で、パケモンカードの転売ヤーでもやっていたのでしょうか……?
それにしても、やはりバルタザールは、【
コイツの中には正義なんてものは、欠片もありませんわ。
あるのはただ、女性の鎖骨に対する狂気的な執着だけ。
お父様の記憶で見た【
とはいえ、バルタザールに同情する気にはなれませんが。
「バルタザアアアアルウウウウウ!!!!」
「にゃああああああああああああ!!!!」
レベッカさんとボニャルくんが、激高しながらバルタザールと相対します。
そうですわよね……。
お二人からしたら、死んだと思っていた姉の仇が、こうしてふてぶてしく蘇って目の前に立ちはだかったのです。
そりゃブチギレますわよね。
「クカカ! そう妬くなよぉ、お嬢ちゃん。もちろん【
「フ、フザけるなああああ!!!!」
うん、やっぱコイツが一番キモいですわッ!
1ミクロンも話が通じないですもの!
「おっとぉ、そっちにいるのは【
「あらぁ、こんなオバサンの鎖骨なんか愛でても、楽しくないですわよぉ」
コ、コイツ、あろうことか、お母様にまで……!
「なんだァ? てめェ……俺の前でヴェロニカを口説こうとするたぁ、イイ度胸してんなぁ」
お父様、キレた!!
あ~あ、一番厄介な方をキレさせてしまいましたわね。
これでもう奴には、死亡フラグが65535本くらい立ちましたわ。
さてと、これが【
精々試し斬りの相手とさせていただきましょうか。
わたくしは右手で握っている【
「バルタザール・グラッベ、あれだけわたくしがわからせたにもかかわらず、微塵も反省の色が見られないその罪、万死に値します。――ブッ
「ニャッポリート」