「よっしゃぁぁぁぁぁっ! ポコ●ン狩りじゃぁぁぁぁっ!」
「捕まえた奴は勇者様から異世界の凄いプレゼントを貰えるんだってよ! 楽しみぃぃぃ!」
「全員、草の根を分けてでも勇者様のおいなりさんを探せ!」
「「「「はいっ!」」」」
独立駆動する俺のシンボルを焼却しようとするアリアさんの手から、マイサンを救い出して1時間が経過したリバース・ロンドン魔法女子学院にて。
俺達は朝食をブッチして、女子学院全員で俺のキノコを全力で捜索していた。
「出てこーい、もう1人の俺ぇぇぇぇっ! 大丈夫、怖くないよぉぉぉぉっ!? ……クソっ、ダメだ!? 俺が見つからねぇ!?」
「モラトリアムでしょうか?」
「変なツッコミ入れてないでアリアさんも俺のキノコを探してくれ! お願い、300円あげるからぁ!?」
冷めた目つきで我がシンボルを探す俺を見つめる、第一王女さま。
どうやら今朝の一件がまだ尾を引いているようで、手伝ってくれる気はないらしい。
「ねぇ勇者様? 自分のキノコを学院の女子生徒達に探させるって、どんな気分ですか?」
「おい誰かぁ! このお姫様を牢屋にぶち込んでくれぇ!」
「その場合は勇者様も一緒にぶち込まれますよ?」
クソっ!? お互いの半径1メートル以内しか動けない【使い魔契約】の制約のせいで、このムッツリプリンセスを牢屋にぶち込む事が出来ない! ファ●ク!
と心の中で悪態を吐いていると、向こう側から「タマちゃーん!」とリリアナちゃんがキレイな金色の髪を靡かせて俺達の方へと駆け寄ってきた。
「タマちゃんのキノコ、見つけたよぉ! ほら、コレ!」
「ごめん、リリアナちゃん。キノコはキノコでも、ソレは
「あれ~?」
おっかしいなぁ? と言いたげに、どこから持ってきたのか『しめじ』をプラプラさせるリリアナちゃん。
ごめんね? 俺のキノコはもっと立派なんだよ。
「まったく……まさかお父様の書斎のモノを盗むだなんて。しかも、よりにもよってあの『精力剤』を」
「うっ!? そ、それに関しては誠に申し訳ないと思っております……。で、でもっ!? しょうがなかったんだ! 元気玉が無くなって1週間、俺のシンボルは日に日に元気をなくしていくし……もう不安で仕方がなかったんだよ!」
ジト目を向けてくるアリアさんに必死に弁明する。
確かに彼女の言う通り、人のモノを盗む奴は最低だ。最低のクソ野郎だ。
だが、よくよく考えてみてほしい?
「元を正せば、アリアさんが俺を間違ってこの世界に呼んだのが原因なんだから、アリアさんには俺のシンボルを探す責任がある! そうだろ!?」
「うっ!?」
今度はアリアさんが言葉に詰まる番だった。
そう、元を正せば彼女のせいで俺は元気玉を失ったのだ。
つまり、俺のシンボルに元気が無くなったのはアリアさんにも原因がある。
だから彼女には俺のシンボルを探す責任が……責務があるハズだ!
そう瞳で訴えると、アリアさんも流石にバツが悪かったのか「ハァ……」と盛大に溜め息を溢した。
「分かりましたよ。手伝います、手伝いますよ」
「それでこそカエル族のお姫様だ!」
「はいはい。……まぁこの件に関してはワタクシ、とんでもない手柄を立てているので探すのはきっと容易でしょうけどね」
「マジでか!? 流石はアリアさん!」
どうやら俺の知らないところで、何か手を打ってくれていたらしい。
おいおい? ツンツンしておきながらこの態度、俺のこと大好きか?
結婚するか?
おっ?
「それで? アリアさんが打ち立てた『とんでもない手柄』とは一体?」
「今朝、あの勇者様のキノコがワタクシの顔に張り付いた時なんですけどね?」
「ふむふむ」
「寝起きと驚きのダブルパンチで、うっかり【物体を黒光りさせる魔法】を使ったんですよ」
「なにやってんだテメェ!?」
おいまさか、お前!?
やったのか!?
黒光りにしたのか!?
俺のキノコを!?
「ふざけんな!? 俺のキノコは未使用の新品ピカピカ☆キノコなんだぞ!? それを勝手に使用済みのガングロ☆キノコにしやがって! でも逞しくなって帰ってくるのは悪くない、よくやった!」
「情緒どうなってるんですか?」
怒ったり笑ったり、毎日楽しそうですね?
と呆れた瞳で俺を見てくるアリアさん。
半分はキミのせいでもあるんだよ、この
「これでキノコの群れの中に居ても一発で分かるぞ! よしアリアさん、手分けして探そう!」
「無理ですよ。【使い魔契約】のせいでワタクシ、勇者様から半径1メートル以上離れられないんですから」
「そうだった! んもうっ!? ほんと邪魔だなぁ、この【使い魔契約】は!?」
ムキーッ! とハードボイルドな俺様らしくなく、その場で地団駄を踏んでしまう。
マズい、マズいぞ?
何の目撃情報も進展もなく、時間だけが過ぎていく。
「流石にこれだけ探して見つからないとなると、森の中の生物に食べられたという線も出てきますね」
「や、やめろよ縁起でもない!?」
何気なくポツリと呟いたアリアさんの言葉に背筋が震える。
もしかしたら、俺はもう一生ムスコとは再会出来ないのかもしれない……。
そんな不安が脳裏をよぎり、思わず気が沈みそうになる。
えぇい!? ダメだ、ダメだ!
ネガティブな考えは捨てろ!
今は希望だけを胸に前へと進め!
「そうだ、俺は探偵だ……もの探しは得意なハズだろう?」
幾度となく迷い猫や殺人犯を自分の探偵の勘を信じろ!
俺は「勇者様?」と小首を傾げるアリアさんの手をパシッ! と掴み、踵を返した。
その途端、何故かアリアさんの顔が瞬間湯沸かし器のように真っ赤に染まった。
「ちょっ、えっ!? 勇者様!? い、いきなりナニを!?」
「一旦アリアさんの部屋に戻る」
「へっ? わ、ワタクシの部屋?」
「あぁ。殺人犯が犯行現場に戻って来るように、もしかしたら俺のキノコもアリアさんの部屋に戻ってきているかもしれない」
希望的観測だが、今はソレに
俺は崩れ落ちそうになる弱気な自分に喝を入れ、アリアさんの手を引っ張って彼女の部屋へと引きかえ――
「キャァァァァァァァァァァァッ!?」
「「ッ!?」」
――引き返そうとした瞬間、絹を引き裂いたような乙女の悲鳴が学院内に響き渡った。
「なんだ今の声!?」
「森の中です! 森の中から女性の悲鳴が!?」
俺とアリアさんは弾かれたように森の中へと意識を集中した。
その途端、森の中から乙女の淫靡な悲鳴が俺達の鼓膜を震わせた。
「な、なにこの黒光りしているキノコは!? だ、誰か助けて!? 私のハジメテが奪われるぅぅぅぅっ!?」
YA☆BA☆Iッ!?
俺のキノコが乙女を襲っている!?
気がつくと俺とアリアさんは放たれた弓矢のように森の中へと駆け出していた。
「うぉぉぉぉっ!? 待て待て、ムスコよ!? 卒業式はダメだ!? 卒業式はダメだぁぁぁぁぁっ!?」
「言ってる場合じゃありませんよ、勇者様! ワタクシの大事な生徒が、国民が!?」
「あぁん!? な、ナニコレ!? き、きもちぃぃ~!? し、知らない!? 私こんなの知らないよぉぉぉ~!?」
焦る俺達を尻目に、乙女の
もう既に手遅れな気がしなくもないが、僅かな希望を信じて肉体を疾駆させる。
やがて開かれた空間へと飛び出ると、そこには――
「こ、この世にこんな甘美な刺激があったなんて……し、新世界♪ 新世界だわぁぁぁぁぁ~~~♪ あぁぁぁぁん♪」
――そこには俺が作ったアリアさん似の
「ゲボロシャァァァァァァァァ~~ッ!?」
俺氏☆リバースッ!
目の前で行われる視覚の暴力を前に、吐き気が止まらない!
気持ちワルッ!?
なんだアレ!?
我がムスコながらゲテモノ食い過ぎないか!?
パパは人外は守備範囲外なのに、おまえはイケる口なのか!?
勘弁してくれ!? と俺の目尻から涙が零れ落ちる寸前、隣に居たアリアさんが我がキノコめがけて呪文を詠唱し始めていたので慌てて止めに入る。
「待って!? 攻撃しないで!? お願い!?」
「無理です。殺します。皆殺しにします。虐殺です」
光彩の消え失せた瞳で自分似のスライムとキノコに攻撃魔法を放とうとするアリアさん。
呪文を詠唱する彼女の唇には『
「分かった! スライムはもう殺してもいい、しょうがない。でもムスコだけは!? どうかムスコだけは助けてください!? お願いします!?」
「最大攻撃魔法でケリをつけます。インフェルノ・カタストロフ――」
「待って!? ソレ絶対に俺のキノコも巻き込まれるヤツだよね!? ヤバイ
「戦いに犠牲はつきものです。諦めてください」
「諦めきれない! パパがムスコを諦めるなんて事は出来ない!」
「インフェル――」
「うぉぉぉぉぉっ!? 言わせるモノかぁぁぁぁぁっ!?」
スライム達への憎悪が限界を振り切っているのか、詠唱を再開し始めるアリアさん。
イカン!? このままでは俺のキノコが焼きキノコになってしまう!?
もはや恥も外聞も関係なく、俺はアリアさんの身体に抱き着き、無理やりにでも彼女の詠唱を止めようとした。
そんな俺を見て、何故かアリアさんが顔を真っ赤にして叫んだ。
「ちょっ!? どこ触ってるんですか、変態!? スライムたちの情事を見て興奮したんですが、このケダモノ!」
「うるせぇぇぇぇっ! お前こそ身体が火照ってるぞ! この淫乱プリンセスがぁぁぁぁっ!」
「いんらっ!? て、訂正しなさい! このエセハードボイルド!」
「誰がエセだ、誰が!?」
「あぁ~ん♪ このキノコ最高ぉ~♪ 気持ちいぃぃぃ~♪」
「「うるせぇぇぇぇぇっ!? 黙ってろ変態スライム!」」
不愉快な声をあげるスライムに、打ち合わせもしていないのにアリアさんと声がハモる。
何気に瞬間、心、重ねていた。
そんな俺達のやり取りに気づいたのだろう。
森の中を捜索していた生徒たちが『何だ、何だ?』と集まって来た。
みな不思議そうに俺とアリアさんのやり取りを小首を傾げて眺めていたが、そのすぐ真横で俺のキノコが
「な、何アレ!? 何アレ!?」
「し、知らない!? アタシ、あんなの知らない!?」
「くぅっ!? なんだ!? あのスライム達を見ていると、お股から水創生魔法が溢れ出そうになる!? これは一体!?」
「あっ、コラ!? 見てはいけません! 皆さん、見てはいけませんよ!」
いつの間にか集まっていた生徒たちが自分似のスライムを凝視している事に気づき、慌てて声をかけるアリアさん。
しかしそんな学園長の言葉など耳に届いていないようで、女子生徒達は全員、熱に浮かされたようにスライムと我がキノコの情事に夢中であった。
その姿はまさに道端に落ちているエロ本に食いつく、男子中学生のソレ!
「??? なんだか騒がしいけど、何かあったのぉ~? ……って、うわっ!? ナニコレ!?」
「り、リリアナ!? こ、コッチに来てはいけません! はやくココから離れなさい!」
スライム娘の淫靡な声に誘われたのか、頭にクエスチョンマークを浮かべたリリアナちゃんがひょっこり姿を現した。
その瞬間、アリアさんはあからさまに『ヤバい!?』という表情を浮かべて妹を遠ざけようとするが……残念ながら一足遅かった。
俺のアナログスティックによがるスライム娘を目にしたリリアナちゃんは、珍しく頬を赤らめながら「うぐっ!?」と悲鳴に近い声をあげた。
「な、なにこれ? お股がムズムズするよぉ……?」
「いけません! 見ちゃいけません! リリアナ、はやく帰りなさい! お姉ちゃん命令です!」
お股を抑えてモジモジし始める妹に『帰れ!』と怒鳴るお姉ちゃん。
しかし他の女子生徒たちと同じく、リリアナちゃんは一向にその場を離れる様子がなく、むしろ居座る気満々でスライム達を凝視し始めた。
「す、すっご……(ごくり)」
「そ、そんなに気持ちいいのかな、アレ?(ごくり)」
「あれ、なんだろう? ボクの中で何かが目覚めようとしているような……?(ごくり)」
「見てはダメです! これは教育によくありません! えぇい、暗幕魔法ダークネス・カーテン!」
ボワッ! と女子生徒たちの身体を覆うように真っ黒い霧がアリアさんの杖から発せられる。
「うわっ!? ナニコレ!?」と驚き悲鳴をあげる生徒達の相手に手一杯なのか、アリアさんの意識は完全にスライム娘から外れていて――今だ!
瞬間、俺は間髪入れずに声を張り上げた。
「魔法発動! 戻ってこい、我が相棒よ!」
1日に1回だけ使える俺のチート魔法を使った、その瞬間。
――俺のマツタケが金色に光り輝き始めた。
「な、なにこれぇぇぇぇぇ~~~~っ!? いやぁぁぁぁぁん♪」
奇声とも
やがてスライム娘が蒸発し終えると、金色に輝いた俺のマツケタは、まるで吸い込まれるように俺の下半身へと飛び込んで来た。
そして俺達は今、再び1つに――