俺が赤い巨人になってパリス・パーリ帝国を壊滅の危機から救って2週間。
衰弱しきっていた身体がようやく自由に動くようになり始めた、ある日の深夜。
俺はパリス・パーリ城の牢屋の中でパチリッ! と目を覚ました。
「……よし、アリアさんはちゃんと眠っているな」
むくりっ! と身体を起こしながら【使い魔契約】のせいで俺から半径1メートル以上離れられないカエル族のお姫様、アリア・ウエストウッドへと視線を向ける。
サラサラの銀色の髪に、精緻なアンティーク人形のような整った容姿をした爆乳美女が無防備にもスヤスヤ♪ と気持ち良さそうに雑魚寝をしていた。
どこでも寝られるのは彼女の美徳である。
この様子だとちょっとやそっとの雑音では起きないに違いない。
実にありがたい。
「さぁ、始めようか」
そう言って俺は……おもむろにズボンとパンツを脱ぎ捨てた。
そうっ! キラッキランランなソロライブの時間である!
この異世界に飛ばされて約2カ月、色んな事がありすぎて日課の射撃訓練を疎かにしてしまっていた。
それに加え、アリアさんのデカパイタッチ、メスガキのデカ尻でドラミング、幼女皇帝陛下の逆セクハラ事件などを経て、俺の下半身の武器庫は今にも大爆発してしまいそうなくらいパンパンだ。
これはイケない。
知的でクールなナイスガイを売りとしているタマオ・キンジョーの下半身が毎日エレクトリカル☆パレードだなんて、そんな情けない姿を世の女性たちにお見せするワケにはいかない!
事は緊急を要した。
「大丈夫、俺は地元でもトップクラスのスプリンター……アリアさんが目を覚ます前にキメてやる!」
俺は下半身の毒素をデトックスするべく、脳内でムチムチ美女を特殊召喚した。
そのまま扇情的な美女の背後にいやらしいBGMを流して準備完了。
「タマオ、イッキまぁぁぁぁぁぁ――すっ!」
そして俺は優しくも繊細に指使いで我がムスコを
「んっ?」
瞬間、物凄い違和感が俺を襲った。
「あ、あれ?」
間抜けな声が唇からまろび出る。
が、構わず俺は確認し続けた。
「ど、どうした? お前の大好物だぞ? 返事をしろ、マイサン?」
俺は『左手は揃えるだけ』とシュートのコツを呟きながら、マイバットへと視線を落とした。
そこにはいつも俺を困らせる暴れん坊のさくらん坊が『しなしな……』の状態で鎮座していた。
揉もうが擦ろうが関係ない。
ピクリとも動く気配のない我がポケットモ●スター。
「あれ!? あれれ!?」
もはや近くでアリアさんが眠っていることなどお構いなしに、俺は我が相棒へと声をかけた。
「起きろ! 目を覚ませ!? しっかりしろ!? 立て! 立つんだ、ジョーッ!?」
プルプル♪ と股間の斬魄刀を振り回すも、うんともすんとも言わない。
ムスコの声が……聞こえない。
「そ、そんな!? いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
その日の深夜、パリス・パーリ城に悲しみの悲鳴が木霊した。