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広島襲撃編 海水浴 1

「りゃああああああ!」


 アリスの木刀は綺麗な軌道で振り下ろされる。


「……」


 その木刀は龍の眉間を……捉えることなく回避され空を来た。


「ちっくしょう!」


 7月……ステアの生徒は夏休みに入った。


 結果的に魔法戦闘大会ではあのままサチがぶっちぎりの優勝を果たした。


 そして一学期の期末試験をアリスとサチが赤点ギリギリで通過すると、一学期が終了、そのまま夏休みに突入した。


 アリス含めズトューパ部に所属しているものは夏休みに行われる合宿に参加し、現在は休みの期間だ。


 そしてアリスに適正魔法が無いことを聞いた龍が通常国会が閉会し、多少時間が取れることも相まって、剣術でも習うかという話になり現在第一空挺団の剣道場にて木刀による稽古をしているのだ。


 だが当初、アリスは剣道の防具を着けて竹刀で稽古する者だと思っていたが違った。


 思いっきり木刀なのだ。


 その理由を聞くと。


『今の日本の剣道じゃあ日本刀の練習には向かないんだよ。剣道は叩くだろ?刀は斬らなきゃならん、その時点で稽古には向かない。安心しろお前の剣術を見るだけだ、俺は降らない、別に頭が勝ち割られても死にゃあしないから安心しろ』

『飛び散った血の後始末するの俺らなんだがな!』


 第一空挺団団長の衣笠のツッコミも入ったが、というわけでアリスは一応胴を着けて龍は何もつけずに稽古していた。


 だが龍の予想よりもアリスの剣術は見事だった。


 普通の人より基礎が出来ている。


———前世でやってたか?ていうか……この剣筋。


 龍は違和感……とういうより何故か昔の自分と同じ何かを感じた。


 アリスと龍の前世での生きていた時代は全く違う……それどころか約400年の差がある、なのにアリスの剣術は龍の剣術に何処か似ているのだ。


「……きええええええ!」


 突然アリスは雄たけびを上げると木刀を振り上げ突っ込んで来る。


「…………」


 そして思いっきり振り下ろされた木刀……だがまたしても龍は横に回避するとアリスの喉元に切っ先を突きつける。


「あのなあ……それ示現流だったか?知ってるだけの剣術使っても意味ないだろ」

「示現流……確か薩摩あたりの剣術だったか?二の太刀いらずの」

「その流派は長年鍛えた剣士が使ってこそ意味がある剣術だろお前が使っても凄味が無さ過ぎて馬鹿が突っ込んで来るようにしか見えん」

「ッチ!」


 ある程度の稽古が終わると、アリスは卒業すれば自衛隊に入隊することが決まっており第一空挺団の隊員と混じって剣道の稽古をしていた順と峰、そして何故か一緒に参加している小林と談笑していた。


「アリス」

「ん?なんすか」

「次の日曜日予定は?」

「今の所……ない」

「お前……水練は?」

「すい…れん?」

「昔の言い方だな。今の言い方じゃあ、泳げるかってこと」

「ああ、多分泳げるんじゃね?」


(記憶ないけど、まあ普通に日本の学校行ってたら泳ぐっしょ)


「なら予定空けとけ、海に行くから」

「……何故に?唐突だな……まあいいけど。海かあ……あ、水着買わなきゃ!」

「可愛いの選んであげようか?この後一緒に買いに行こうよ!」

「サチとコウと香織も良いですか?プール行こうって話してるんで!」


 この後の話に花を咲かせるアリスたち。


 ゆっくりと龍に近寄る衣笠がしゃべりかける。


「龍……海ってことはあれか。アリス君に本当の目的言わなくても良いのか?」

「良いんだよ。緊張して寝不足になってもらっても困る。寝不足になるのは海で遊ぶ時で十分だ」



 その週の日曜日……以外にもちゃんと眠れたアリスだったが、海へ行く交通手段が判別した瞬間、ウキウキだった顔は驚愕と呆れた顔が入り混じった顔になった。


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