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第5話 ダイゴくんはオキナワに立つ

ダイゴくんと、お父様とお母様は、

ヒコウキに乗ってオキナワの地へとやってきました。

ヒコウキは伝説の怪鳥のようだと思いましたが、

それは別の世界にいた私アイリスの感覚であり、

この世界においては、

ヒコウキはヒコウキと言うものとして認識されているのかもしれません。

私はダイゴくんの身体にいるので、

あまり遠い場所に行くこともできませんし、

いろいろな会話をたくさん聞くこともありません。

おそらく、この世界においての私の知識は、

それこそ、幼子並みなのかもしれないと思います。

それはそれでいいのかもしれないと、思います。

私はダイゴくんの身体に宿り、

ダイゴくんの心と身体とともにこの世界を知っていく。

ダイゴくんとともに成長できるのだとすれば、

それはなんと素晴らしいことでしょう。

私の、この世界の知識は幼子並みかもしれませんが、

ダイゴくんとともに色々なことを知っていけるのだとすれば、

それはとても素晴らしいことです。

ヒコウキに乗ってオキナワの地に降り立つことができたこと。

おそらくヒコウキはかなり遠いところまで私たちを運んでくれたこと。

この世界がどれほど広いものであるかを私はまだ知りません。

ダイゴくんも全くわからないでしょう。

今はまだ、お父様とお母様と、たくさんの愛に囲まれていればそれでいいのです。

ゆっくり、愛を感じながらいろいろなことを知っていければいいのです。

まずは、このオキナワの地で私たちは何を感じられるでしょうか。

ダイゴくんの意識がはしゃいでいます。

私もとても楽しみです。


オキナワはあたたかい場所であるようでした。

いつもとは違う車に乗って、

ダイゴくんとお父様とお母様はオキナワを行きます。

とても美しいものが目に飛び込んできました。

宝石のように輝く大きな池です。

お母様が、あれは海だよと言ってくれました。

私の知識で知っている海とはまるで違います。

本当に、輝く宝石がそのまま溶け込んだようです。

青く輝くようでもあり、深いところは緑がかってもいます。

あの海を掬ったら、そのまま装飾品にできるのではないかと思うほどです。

これがオキナワの海なのかと私は思います。

きっとこの世界においても有数の美しい海であろうと私は思うのですが、

私はこの世界の知識がまだ少ないので、

もっと素晴らしい海があるのかもしれません。

しかし、現時点において、

私の中で最も輝ける海はオキナワの海です。

ダイゴくんと見たこの海を、私は忘れないと思いました。


私たちはオキナワを車で行き、

お父様の御親戚に会いました。

あたたかいオキナワのように、

あたたかい心を持たれている方たちでした。

皆様ダイゴくんを歓迎してくださり、

これ以上ないほど可愛がってくださいました。

こんなに遠くにもダイゴくんの味方がいるというのは、

とても素晴らしいことだと思います。

御親戚であれば味方であるのが、この世界では当然なのかもしれませんが、

この世界に来るまで、とにかく何をしてもみんな敵だった私からしますと、

こんなにも大事にしてもらって、かわいがってもらえる存在がいて、

そうしてくれる存在がどこにでもいる。

それは素晴らしいことであると思うのです。

ダイゴくんは赤ちゃんだからかもしれません。

赤ちゃんは無条件で愛されるからかもしれません。

その無条件の愛は何とも尊いのでしょうか。

御親戚の方々の笑顔を見ながら、

ダイゴくんは愛嬌を振りまきます。

ダイゴくんの意識の中には、気持ちいいイメージだけが流れてきます。

愛されることだけを知っている。

それはとてもいいことです。

誰もダイゴくんを傷つけないと思っている。

ずっとそう感じていてほしいと私は願うのです。


私たちはオキナワに滞在しました。

滞在の間、オキナワの美しい海に私たちはやってきました。

波打ち際でダイゴくんは海で遊びます。

プールとはまた違った感覚に、

ダイゴくんのイメージが楽しいことでいっぱいになります。

ダイゴくんの意識を感じながら、

私もオキナワの海を楽しみます。

オキナワの空に浮かぶ太陽はダイゴくんの笑顔のようです。

オキナワのきれいな海は、ダイゴくんの心の美しさのようです。

オキナワに吹くあたたかい風は、

ダイゴくんの無邪気さのようです。

ダイゴくんのお父様の故郷として、

ダイゴくんはオキナワにやってきましたが、

ダイゴくんは来るべくしてこの地にやってきたのかもしれません。

オキナワの地で育った方々の血を、

ダイゴくんはその身に受け継いでおります。

ダイゴくんはその血も受け継いで、みんなに愛される勇者となることでしょう。

私はそう確信します。


私たちは、オキナワでとあるお店にやってきました。

私はまだこの世界の文字がわかりませんが、

どうやら飲食をするお店のようです。

エーアンドダブリューなとと申し上げていました。

お父様とお母様は、お店でダイゴくんを支えつつ、

パンで肉を挟んだものを召し上がっています。

お母様はその美味しさにいたく感動されて、

なんでオキナワにしかないのかと言われていました。

なるほど、エーアンドダブリューと言うお店は、

オキナワにしかないようです。

ヒコウキに乗らないと食べられない味らしいのです。

お父様が、戯れに、パンと肉に挟まっているソースをダイゴくんに舐めさせました。

その味覚は身体を共有している私にも伝わってきます。

なんと美味しいのでしょうか。

ダイゴくんはもっととその味を求めます。

私ももっといただきたいと思います。

ダイゴくんは赤ちゃんなので、

あまり味の強いものはいただけません。

ソースはそのひと舐めだけで終わってしまいましたが、

ヒコウキに乗ってでもまた味わいたいお味でした。


オキナワで私たちはたくさんの素晴らしい経験をして、

ダイゴくんもさらに成長しました。

遠いこの地にもダイゴくんを愛してくれる存在がいる。

きっといつもダイゴくんの幸せを望んでくれている。

それはとても素敵なことです。

ダイゴくんにはこれから先、

幸せを望んでくれる存在がたくさんできると思います。

ダイゴくんを心から愛してくれる、

そんな存在がたくさんできるでしょう。

帰りのヒコウキの中で、

私とダイゴくんは眠りにつきます。

夢の中で、私とダイゴくんはオキナワの楽しいことを思い出していました。

きっとダイゴくんはこれからもたくさん、

楽しいことや幸せなことを経験します。

海のように大きな愛につつまれて、

ダイゴくんははしゃいでいます。

まだ小さな身体に、

たくさんの希望と可能性が詰まっています。

小さなダイゴくんは、きっと愛される勇者になる。

私はそう思うのです。


眠る私たちを乗せて、ヒコウキは家の方へと向かいます。

私たちのオキナワの旅は、楽しい夢を見ながら終わるのでした。

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