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第6話 ダイゴくんは宝物を見つける

ダイゴくんがオキナワの地から帰ってきてしばらく経ちます。

毎日楽しくはしゃぐダイゴくんと、

身体と魂を共有している私は、

オキナワの楽しい記憶と、帰ってきてからの楽しい日常を一杯に感じて、

心より幸せだと感じています。

ダイゴくんのイメージは、いつでもキラキラと輝いています。

ただ、排泄をした時などは気持ち悪いイメージになりますし、

眠い時などはモヤモヤしたものになります。

お父様もお母様も、ダイゴくんのその様子を的確にとらえてくださっていて、

イメージの共有ができる私以上に、

ダイゴくんをしっかりお世話してくださっています。

素晴らしいご両親であると改めて思います。

ご両親というものは、

ダイゴくんとイメージの共有ができていないというのに、

こんなにもダイゴくんを理解しているのだなと、

しみじみと、親という存在の偉大さを思います。

私はダイゴくんを、みんなに愛される勇者に導きたいと思うのですが、

このご両親の導きがあれば、

ダイゴくんはすくすく成長していって、

立派な大人になりそうな気がします。

ただ、立派なだけでなく、

私はダイゴくんをみんなに愛される勇者にしたいと思うのです。

そこに私の導きが役に立てればいいのですが、

私にどれほどの力があるでしょうか。

魂が落ち込んだ私を、

ダイゴくんの魂のイメージが包み込んでくれます。

言葉はまだ持っていませんが、

親御さんがなされるように、

心地よく撫でるようなイメージです。

なんて優しいのでしょうか。

私の力は微々たるものかもしれません。

すごい力を持って、こちらの世界にやってきたわけではありません。

ただ、ダイゴくんを幸せにしたいと思うのです。

それが私の幸せです。


ダイゴくんはハイハイをしていろいろなところに向かいます。

お家の中をダイゴくんは探検します。

いろいろなものを映しだすものは、

テレビと言うと、私は最近理解しました。

いろいろな声が流れてきますので、

ついつい注目するものです。

ダイゴくんもテレビには興味を持っているようです。

しかし、テレビはどんな仕組みなのでしょうか。

そこまではよくわかりませんが、

この世界なりの技術で作られたものかもしれませんし、

わからなくてもテレビに映っているものは楽しめます。

ダイゴくんはハイハイして、テレビの裏に入ります。

そこには、もじゃもじゃがたくさんです。

これはテレビが出したものでしょうか。

テレビは何かを映し出すという力を持った生き物で、

その生き物が裏に隠し持っている宝物であるのでしようか。

ダイゴくんはもじゃもじゃをつかんでテレビの裏から出ます。

冒険で得た宝物です。

お家という場所を冒険して、

こんな宝物を獲得して戻ってきました。

ダイゴくんは、その宝物を口にしようとします。

ダイゴくんは物を知る時に、

とりあえず口で確かめます。

身体を共有しているからわかりますが、

口が一番敏感で、物を理解するには一番いいのです。

もじゃもじゃを口にしようとしたら、

お父様にもじゃもじゃを没収されました。

お父様が言うには、

もじゃもじゃは埃であるようでした。

テレビの後ろは大人では入れないものであるらしく、

埃が溜まっていたようでした。

なるほど、小さなダイゴくんであるから、

テレビの後ろに入れたのだと私は理解します。

そして、埃ということは汚れであり、

ダイゴくんが口にしてはいけないということも理解しました。

大冒険で得たお宝が、

呪われていたものである可能性もあるということです。

これはお父様の判断が正しいです。

ダイゴくんが元気でいるためには、

呪われたお宝は処分するべきです。

ダイゴくんはちょっと不満げでしたが、

美味しいおやつをいただいたらすっかり忘れました。

楽しいことを考えていた方がずっといいですね。


ダイゴくんは空も飛びました。

ダイゴくんは海にも行きました。

ダイゴくんは親御さんの車に乗って、

いろいろなところにも行けます。

まだまだ親御さんに守られてではありますが、

ダイゴくんはどこにでも行けそうな気がします。

この世界がどれほど広いかはわかりませんが、

小さなダイゴくんからすれば、それこそ無限に広いような気がします。

ハイハイで行ける範囲よりも、さらにさらに広い世界。

その世界のみんなから愛されたら、それは素晴らしいだろうなと私は思うのです。

広い世界のどこに行っても、

ダイゴくんを見たら笑顔になって、幸せになってくれたら、

それこそがダイゴくんが愛される勇者であろうと思うのです。

そして、広い広い世界には、

たくさんの宝物があるのだと私は思います。

お家にあるおもちゃもダイゴくんの宝物ですが、

形あるものないものにかかわらず、

たくさんの宝物があるのだろうなと思います。

高価な宝物をたくさん手にすることばかりでなく、

本当に守るべきものを守って得た宝物は、

かけがえのない財産になるであろうと思います。

この世界にどれほどのものがあるかは、まだよくわかりませんが、

ダイゴくんの小さな手は、たくさんの大事なものを握るためにあるのだと思います。

お父様に取り上げられた埃のもじゃもじゃのようなものでなく、

本当の誇りをつかむための手であろうと思います。


ダイゴくんには、たくさんの宝物を手にして欲しいと願うのです。

たくさん冒険をして、苦難も乗り越えて、

喜びも手にして欲しいのです。

私の中では勇者とはそんなものであり、

また、世界のどこに行っても、

勇者であるというだけで歓迎され、愛される存在です。

ダイゴくんもそうなって欲しいと願います。

もしかしたら、ダイゴくんはダイゴくんというだけで、

すでに誰からも愛される存在になっているのかもしれません。

愛とは、宝物であると私は思うのです。

その宝物を、すでにたくさん持っている存在であるのかもしれないと思います。

ダイゴくんはキラキラと笑います。

そのダイゴくんを見てみんなもニコニコ笑っています。

ああ、宝物がたくさんあると私は感じます。

愛してくれているみんなが宝物ですし、

ダイゴくん自身も大事な宝物です。

ダイゴくんは大きくなったら、

もっといろいろなものを守れるようになるでしょう。

宝物は、ダイゴくんが求めるだけ、得られるのだと思います。

大丈夫。ダイゴくんはきっと何でもできます。


ダイゴくんは今日もハイハイしてお家の中を探検します。

時々面白そうな宝物を見つけては、

お父様やお母様から没収されます。

宝物はまだまだ小さなダイゴくんに早いものもあるようです。

それでもダイゴくんはお家の中をハイハイします。

見るものすべてが興味深いもので満ちています。

私もダイゴくんとイメージを共有してお家の中を見ます。

こちらの世界はきっともっといろいろなものがある。

私もダイゴくんも、この世界の宝物を見出せる日を楽しみにしています。

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