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第13話 ダイゴくんは体調を崩す

暑い日があったり、曇りがちの日が続いたりしています。

親御様たちのお話によりますと、

つゆという季節が近いらしく、

それは雨が続く季節であるようです。

ダイゴくんはホイクエンで泥まみれで遊んでいますから、

その服のお洗濯も大変だと思います。

お家の中にお洗濯をするものがあるのですが、

お洗濯物を乾かすのも、

お日様が出ているのと、雨の日では違うと思います。

おそらく雨の日では大変なのではないでしょうか。

ダイゴくんの中にいる私ではお手伝いできることはありませんが、

雨が続く季節になりますと、

いろいろなことが大変になると思います。

幼いダイゴくんのお世話をしながら、

季節のことも乗り越えていこうとする、

親御様たちはすごいなと改めて思います。


ダイゴくんは、ふとした時に歩けるようになりました。

いつどこでなどと、日付がわかるわけではありません。

ただ、いつの間にか足で歩けるようになりました。

ハイハイではなく、二つの足で、

大地を踏みしめることができるようになりました。

ホイクエンでのいろいろな刺激もあったのでしょうし、

親御様たちの様子を見ていて真似をしたのかもしれません。

ダイゴくんの成長はめざましいものです。

すくすくと成長しています。

ホイクエンで聞いた言葉などを、

ダイゴくんなりに発声をしていることもあります。

もう少しすれば、

私とダイゴくんがいる意識の中も、

イメージではなく、言葉があふれるのかもしれません。

ダイゴくんの意識も、言葉で表現ができるようになるのかもしれません。

お話ができるようになりましたら、とても楽しいことでしょう。

このダイゴくんの身体の、主人公はダイゴくんです。

私は同じ身体の中にいる存在であります。

主導権を握る気はありません。

ダイゴくんが毎日いろいろなことを覚えて、

日々成長をしているのを感じるだけで、

私はとても幸せです。

ダイゴくんが選んで、ダイゴくんが覚えること。

それを奪ってはいけないと思います。

ただ、ダイゴくんが愛される存在になって欲しい。

それだけは願うのです。

みんなに愛され、この世界の勇者のようになって欲しい。

そんなことだけは願い続けますし、

できればそうあるように、そっと導ければと思うのです。


ダイゴくんは、物の受け渡しを覚えました。

「ちょうだい」と、大人が手を出しますと、

ダイゴくんは持っていたものを優しく手に置いてくれます。

「あげる」と、大人が物を渡そうとしますと、

ダイゴくんは両手を受け取る形にします。

物を受け取ると、ダイゴくんは喜びます。

これはきっとホイクエンで覚えたことなのでしょう。

たくさんホイクエンでお子様たちがおられる中、

少し年長のお子様が教えたのかもしれません。

あるいは、先生たちが教えてくれたのかもしれません。

ホイクエンでの時間は、

私にとってとにかく目まぐるしく時間が過ぎていって、

何が起きたかうまく処理ができていません。

ダイゴくんはあっちこっちで遊んでいますし、

お子様たちもたくさんおられて遊んでいます。

おそらくダイゴくんは、

そうして遊んでいることのすべてを覚えようとしているのだと思います。

遊びは刺激であり、

たくさんの刺激でダイゴくんは成長します。

ただ、ダイゴくんの意識の中にやってくる刺激は、

全てが新しいもので、

私はすべてを把握することができません。

ダイゴくんは訳が分からないなりにたくさんの刺激を受けていて、

それらを少しずつ意識の中で分類していくのだと思います。

まだまだめちゃくちゃですので、

意識の中にいる私も理解できないことが山ほどです。

こんなにたくさんの刺激を毎日のように覚えているのですから、

夢の中でも楽しいことが思い出されて、

寝相が悪くてベッドから落ちてしまうのでしょう。

ダイゴくんはいつでも動き続けています。

意識の中も、身体もです。


さて、そんな刺激を受け続けてきたダイゴくんは、

数日前から体調を崩しました。

どんよりした天気や、暑い気候、

そして、ダイゴくんがたくさんの刺激を受け続けてきて、

もしかしたら疲れてしまったのかもしれません。

同じ意識の中にいる私ですら、

刺激や情報が把握できなくてどうしようと思っていたので、

ダイゴくんもまた、頭と身体を、

思いっきり使い過ぎてしまったのかもしれません。

おそらく疲れということを、まだわからないのかもしれません。

楽しいことはどんどんしようとしていたのかもしれません。

そうしているうちに、身体がいつの間にか限界だったのかもしれません。

赤ちゃんのダイゴくんには、限界というものがわからないのかもしれません。

とにかくダイゴくんはお休み期間が必要なのかもしれません。

お休み期間の間に、

今まで覚えてきた刺激を意識の中で整頓して、

ダイゴくんはより成長できるようになるに違いありません。

親御様たちもお仕事をお休みになられて、

ダイゴくんの看病をなされています。

命にかかわる病気だったら大変だからと、

親御様たちは心配なされています。

意識である私は大丈夫とは言えません。

ダイゴくんがどれほど回復するかはわかりません。

私と一緒にいる、意識のダイゴくんもぐったりしています。

流れるイメージは、たくさんやりたいことが流れていきます。

ホイクエンの様子が流れていきます。

お家の様子が流れていきます。

大好きなおばあ様の様子が流れていきます。

いろいろなところにお出掛けしたイメージも流れていきます。

ダイゴくんは今までたくさんのことを経験しました。

そして、これからもっといろいろなことを経験します。

そのためにも、しっかりお休みしなくてはなりません。

ダイゴくんがしっかり元気になりましたら、

それは成長して強くなったダイゴくんです。

逆境をはねのけた勇者のダイゴくんです。

病魔を退治したダイゴくんです。

きっとそうなると私は思います。

それは私の願望でありますが、

ダイゴくんならばきっと元気になると信じています。


雨の多い季節が近いと聞きます。

天気が悪いと体調も悪くなるとも聞きました。

季節の変わり目というものは、

そうなりやすいとも聞きました。

そんな季節も越えて、ダイゴくんはさらに成長していくのだと思います。

オーディションのお返事は、

今のところ保留になっていると親御様たちからお聞きしました。

ダイゴくんが勇者になる道は、

オーディションに選ばれる道ではないのでしょうか。

あるいは、親御様たちは別の道を考えておられるのかもしれませんし、

もっと別の可能性をダイゴくんに見出しておられるのかもしれません。

オーディションで選ばれた道を歩むのか、

また別の可能性を親御様たちが見出すのか、

もっとダイゴくんがやりたいことを見つけ出していくのか、

私は全くわかりません。

ただ、親御様たちも、私も、

ダイゴくんが愛されてほしいという点において同じだと思います。


今は、ダイゴくんはしっかりお休みの時です。

たくさんお休みして、

元気になってキラキラ笑ってほしいものです。

大地を踏みしめられるようになった足は、

やがてどこにでも行けるようになるでしょう。

今は幼いダイゴくんですが、

成長すれば、世界のどこにでも行けるようになります。

世界のどこに行ってもダイゴくんは歓迎されて、

世界中の人々に愛されるようになります。

そんな日がきっと来ます。

今はお休みです。

元気になったらいっぱい遊んで、

たくさんのことを覚えていきましょう。

私もこの世界のことをもっと覚えていきたいと思います。

ともに成長できたら幸せだと思います。


ダイゴくんの勇者への道はまだまだ続きます。

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