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第14話 ダイゴくんは元気になる

つゆというものになったようです。

毎日雨が続いております。

ダイゴくんの身体の中にいる私も、

ダイゴくんの身体を通して、

湿気や暑さなどを感じています。

じめじめむしむしという言葉が合いそうです。

つゆという時期にはそうなるものなのでしょう。

まだこの世界の季節のことがよくわかりませんが、

心地いい季節から、なんだか過ごしづらい季節になりました。

多分暑いも寒いも、いろいろな季節があるのでしょう。

ダイゴくんはその季節をいくつも経験していくのでしょう。

私も徐々に覚えていって、

ダイゴくんとともに季節を楽しめればと思います。

ダイゴくんも私も、

この世界について知らないことがたくさんあります。

それは、今から知ることがたくさんあるということです。

なんだかワクワクしますね。


ダイゴくんの体調はすっかり良くなりました。

一時期は、おむつが大変なことになるほどの、

ゆるい排泄が繰り返されて、

親御様たちは大変な思いをされたようでした。

シーツが汚れ、タオルが汚れ、

それを洗濯するものに入れて、

乾かすのにまた何かしていて、

その間にダイゴくんが汚してしまい、

本当に、親御様たちは大変だっただろうと思います。

ダイゴくんも不本意の体調不良だったと思います。

体調不良になりたくてなる赤ちゃんはいません。

きっとダイゴくんだってそうです。

親御様たちもそのことをよくわかられていると思います。

ですから、あれだけダイゴくんのことをお世話できて、

そして、なによりも心配なされたのだと思います。

これが愛でなくてなんと言うのでしょう。

その愛に包まれて、

ダイゴくんは回復しました。

親御様の言うことには、

牛乳の飲み過ぎであろうということでした。

ダイゴくんはしばらく母乳を飲んでいました。

親御様の作ったミルクも飲んでいました。

このところ牛乳を飲むようになったらしく、

たくさん飲み過ぎてのひどい排泄につながったのだろうとのことでした。

親御様がちゃんと対策をなされて、

気が付いてくれたことで、

ダイゴくんはしっかり回復しました。

元気になったダイゴくんに敵はありません。


元気になったダイゴくんはホイクエンで走り回っています。

つい最近まで歩くのがおぼつかなかったダイゴくんは、

めきめきと成長をしています。

ハイハイだけだった頃からほんのわずかの期間で、

走り回れるほどになりました。

ハイハイの頃に足の力が強くなったのでしょう。

歩き、走るのに問題がないほど、

足はしっかりしています。

ホイクエンで、ダイゴくんはお友達を作ろうとしています。

お友達になりたいお子様がいましたら、

そっと触れることをしています。

強く叩くのではなく、ぽんと叩く程度です。

ああ、愛情表現だと私は思うのです。

親御様たちから、限りない愛情を受けて育ってきて、

その愛を表現することが、

優しく触れることであることを学んでいるのです。

ダイゴくんの中に、愛が根付こうとしているのです。

親御様たちや、ご近所の方々、

ホイクエンの先生たち、ホイクエンのお子様たち、

ダイゴくんのおばあ様、御親戚の方たち、

皆様の愛が、ダイゴくんに根付こうとしています。

大切にされ、愛を知るものはとても強いです。

ダイゴくんは誰よりも優しく強く成長するでしょう。

そうあって欲しいと私は願うのです。


ダイゴくんはたくさんのことに興味を持っています。

絵本はとっても楽しいです。

いろいろな色が鮮やかなので、

まるで食べ物のようです。

ダイゴくんは絵本をかじります。

味はありませんが、いろいろな色をかじっていることで、

ダイゴくんの歯にも刺激が行きます。

たくさんの絵本がありますが、

そのすべてにダイゴくんの歯型がついています。

ダイゴくんのかじり癖が抜けるまで、

絵本を借りることはできないと、お母様が言われていました。

なるほど、借りたものはかじることはできません。

歯型を残して返すことなどできません。

お家の絵本をかじりながら、

ダイゴくんなりに絵本を楽しみます。

絵本のお話が理解できるのは、

もう少し先かもしれません。

また、ダイゴくんは大人のすることを真似しています。

火をつけて調理をするものを、

コンロというらしいのですが、

コンロに火をつける真似をしてカチカチとしています。

火はとても危ないです。

親御様たちが見つけられましたら、

すぐさまその場から離されます。

危ないとされているものや、

仕掛けがどうなっているのかわからないもの、

いじれるものなど、

ダイゴくんの興味は尽きません。

コンセントという穴があるようです。

ここに何かを入れますと、

何かが動くらしいと知りました。

仕掛けはよくわかりませんが、

コンセントというものから、

何かの力が届いているのかもしれません。

届いている力と、装置らしいものを繋ぎますと、

届いている力で動き出すというものかもしれません。

もう少ししたらわかるのかもしれませんが、

とにかく、コンセントは力が届いているところです。

その穴の中は多分力がある場所です。

ダイゴくんはそのコンセントに何かを入れようとしていて、

その度に親御様たちから止められています。

おそらくコンセントは強い力が届いている場所なのだろうと思います。

その力がダイゴくんに伝わっては大ごとなのかもしれませんし、

また、コンセントに規定のもの以外のものを入れることにより、

コンセントに届いている力が暴走するのかもしれません。

どちらにしろとても危険です。

ダイゴくんの興味は尽きませんが、

ダイゴくんが動けるようになりますと、

ダイゴくんの周りには危険なものでいっぱいになります。

まだまだダイゴくんは覚えられないので、

親御様たちの見守りがとても大事になります。

これだけ大切にされていることを、

いつかダイゴくんはわかると思うのです。

今日もダイゴくんは無邪気に過ごします。


少し前に、ダイゴくんと親御様たちで都会に行って、

ダイゴくんが選ばれたらしいと聞きました。

しばらく保留になっていたようでしたが、

ダイゴくんは選ばれたそこへと進むことが決まったようです。

ダイゴくんの笑顔でしたら、

見ているものすべてを幸せにする笑顔です。

私の感覚ですと、皆に愛される勇者を目指すのですが、

どうもこの世界において、

私の感覚で言う勇者にあたる言葉がないような気がします。

まだ私が触れていない言葉の中にあるのかもしれません。

まだまだこの世界のことがわかりませんので、

これからそのような言葉に出会えるかもしれません。

ダイゴくんは、選ばれたことにより、

どんな道を進むのかの打ち合わせのようなものをするらしいです。

私の感覚ですと、勇者の適性のようなものと思うのですが、

この世界ですとまた別の適正かもしれません。

世界が違うということは、

いろいろな常識が違うということです。

また、ダイゴくんにはこの世界の常識が根付いていません。

まだまだダイゴくん自身が世界の中心です。

このダイゴくんにどんな適性があって、

どんな道を進むことになるのか、

ダイゴくんの中にいる私も楽しみです。

ただ、ダイゴくんが苦しくない道を進んでもらいたいと思うのです。

健康で、いつも笑顔で、幸せで、

悪意を向けられることなく、友がたくさんいて、

皆に愛される存在であってほしいと思います。

ダイゴくんの心がいつもきれいなままであってほしいと願うのです。

ダイゴくんがどんな道を進もうとも、

私はダイゴくんの中にいて、

ダイゴくんの心を守りたいと思います。

そして、皆に愛される勇者のようになるよう、導きたいと思うのです。

ダイゴくんの適正についての話し合いがどうなるか、

わからないなりに聞いていこうと思います。


ダイゴくんの勇者への道はまだまだ続きます。

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