目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第15話 元悪役令嬢は魔法を使う

つゆと言う季節は、雨が多いと親御様たちが言っていましたが、

つゆという季節がなくなってしまったかのようだと、

これも親御様たちが言っていました。

どうやら、私がダイゴくんのもとにやってくる前までは、

つゆと言う季節は、ずっと雨が続く季節であったようですが、

なぜか最近になって、

つゆと言う季節が飛び越えられていて、

次の夏という季節になってしまったかのようであるとのことでした。

夏は私もわかります。

暑い季節であると覚えています。

夏の前につゆがあるはずだったのが、

いきなり夏が来てしまったかのようであるとのことでした。

確かに、最近とても暑いです。

日差しはとても強く、

私の記憶している夏よりはるかに暑いです。

この世界の夏はこれが普通なのでしょうか。

この世界に来て間もないので、普通がよくわかりませんが、

幼いダイゴくんが暑さでどうにかならないかが心配です。

親御様たちもダイゴくんを気にかけてくださっていますが、

ダイゴくんの中にいます私は、この暑さがとても心配です。

もっと暑くなってしまったらどうしましょう。

私ではどうしようもないのかもしれませんが、

夏を乗り越えられるかがとても心配です。

そういえば、オキナワの気候は、

このお家のあたりよりも温暖でありましたが、

もしかしたらオキナワはここよりもさらに暑いのでしょうか。

優しかった皆様が倒れられていないかが心配です。


私の心配を察してくださったのか、

親御様たちが、よく使う装置を使って、

オキナワの皆様とお話ができるようにしてくださいました。

スマホと言うことくらいは覚えてきました。

どんな仕組みかはわかりません。

オキナワの皆様を映し出しつつ、お話もできて、

こちらからは、ダイゴくんと親御様たちを映してお話ができるようです。

ダイゴくんは少しずつ言葉らしいものを覚えてきました。

まだ、言葉のような発音をする程度で、

意味を持った言葉にはなっていません。

親御様や、皆様が言葉をかけていることで、

ダイゴくんは少しずつ言葉というものを覚えていくでしょう。

そうすれば、こうしてスマホで、

オキナワの皆様ともお話ができるようになるかもしれません。

オキナワも暑いようですが、

皆様お元気そうです。

ダイゴくんとともに笑顔になっていらっしゃいます。

ヒコウキを使うほどの遠くの地で、

笑顔が繋がっているというのは、素敵だと思うのです。


ダイゴくんは、ホイクエンで笑顔を振りまいています。

ホイクエンは楽しくて仕方のない場所であるとダイゴくんは覚えてきたようです。

ダイゴくんよりも少しだけ年長のお子様たちが、

ダイゴくんを遊びの輪に入れてくださったり、

ダイゴくんにいろいろなことを教えてくださったりしてくれます。

幼いダイゴくんにお世話を焼くことができる、

お兄さんお姉さんであるということが、

お子様たちには嬉しいことなのかもしれません。

ダイゴくんがお子様たちに接する時に、

私はダイゴくんを可愛がってくださいと念じます。

ダイゴくんの中にいる、私なりの願いです。

すると、お子様たちはその願いを聞き届けたかのように、

ダイゴくんをしっかり可愛がって遊んでくださいます。

ダイゴくんは楽しいので笑顔がはちきれんばかりです。

お子様たちも楽しそうです。

もしかしたら私の願いが通じたのかと思いましたが、

それほどの力が私にあるとも思えませんので、

ダイゴくんの魅力のなせるわざかもしれません。

ダイゴくんはホイクエンで楽しく過ごし、

親御様たちがお迎えに来ますと、

どうして今までここにいなかったのかというような、

疑問符を持った顔をします。

こんなに楽しい場所に何でいなかったのか、

ダイゴくんにとっては不思議なのでしょう。

ダイゴくんにとってはホイクエンは楽しい場所。

お家もまた、心地いい場所です。

親御様が楽しいホイクエンにいないことが、

ダイゴくんなりに理解できないのかもしれません。

お仕事のことがわかるのは、もう少しかかるのでしょう。


ホイクエンにおいて、ダイゴくんの中から私が願うと、

お子様たちがダイゴくんを可愛がってくださいました。

ダイゴくんの魅力がほとんどの要素ではあると思うのですが、

私なりに試してみることにしました。

お家でダイゴくんとお母様がいる際に、

私はお母様に向けて念じます。

ダイゴくんに美味しいものを食べさせてあげてください。

ダイゴくんの大好きなものを食べさせてあげてください。

元気になるものを食べさせてあげてください。

そんなことを力いっぱい念じます。

お母様は何か感じたのでしょうか。

見た目は何も感じられていないようです。

ただ、ダイゴくんの具合を見てから、

ダイゴくんの離乳食を準備します。

それはとても美味しい離乳食です。

ダイゴくんもこれには満足です。

なんだかいつもの離乳食より美味しい気がします。

もしかしたら、お母様に私が念じたことが伝わったのかもしれません。

偶然でしょうか。

もし、必然だとしたら、

私はダイゴくんの中で願いを念じることにより、

願いをかなえるものを引き寄せて、

それをかなえることができるのかもしれません。

これは魔法なのかもしれません。

魂としてダイゴくんの中にいる私が、

使える魔法なのかもしれません。

どれほどのものまでかなえられるかはわかりませんが、

もし魔法だとしたら、

ダイゴくんをこの世界の勇者として導いていくにあたり、

これほど適したものはないように思うのです。


ダイゴくんのお父様は、

最近ダイゴくんが選ばれたオーディションというものとは別に、

また、オーディションを受けていたようでした。

そのオーディションというものの上の方に行くと、

賞金が出るとかどうとかと聞きました。

お金はなんとなく把握してきました。

この世界では円というお金があって、

お店で払うものです。

コンビニと言うお店においては、

お金を入れる穴があるようです。

親御様とダイゴくんがコンビニに行きますと、

ダイゴくんはその穴にお金を入れる役目をもらっています。

ダイゴくんは時々お金を投げてしまいますが、

お金を払うということを覚えつつあります。

そして、オーディションで選ばれて上の方に行きますと、

お金は払うだけでなく、

ダイゴくんのもとにやってくるものになるようです。

親御様たちがお仕事でお金を稼ぐように、

ダイゴくんもお金を得ることができるようになります。

それはとてもすごいことです。

これほど幼いダイゴくんが、

お仕事並みのお金が得られるかもしれないのです。

私はオーディションで選ばれるように念じます。

ダイゴくんの魅力が伝わるように念じます。

どこにいるかわからない、

オーディションで選んでいる人に向けて、

ダイゴくんを選んでもらえるように念じます。

ダイゴくんが選ばれれば、

賞金のこともそうなのですが、

たくさんの皆様がダイゴくんの魅力に気が付きます。

そして、たくさんの皆様がダイゴくんを愛するでしょう。

大事にしたいと思うでしょう。

可愛がりたいと思うでしょう。

笑顔であってほしいと願うでしょう。

それは、私が目指す、皆に愛される勇者の道に沿ったことだと思います。

ダイゴくんは皆様に愛されるべきです。

もっともっと、世界中がダイゴくんのすごさを知るべきです。

私は願います。

魔法があるのでしたら、

ダイゴくんが選ばれるようにと願います。

ダイゴくんの魅力が目に留まるように、

ダイゴくんを愛さずにはいられないようになるよう、

私は願います。

魔法につきましては、まだまだ半信半疑ですが、

もし、ここでダイゴくんが選ばれましたら、

私は私の魔法の力を信じられるかもしれません。

その力でダイゴくんとともに勇者への道を進めるかもしれません。

オーディションの結果はまだわかりませんが、

私は念じ続けます。

魔法があるならば届いてほしいのです。


ダイゴくんの勇者への道はまだまだ続きます。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?