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第16話 ダイゴくんはたくさんのことを覚える

暑い日が続いています。

つゆというものが、あるのかないのかわからない日です。

夏が来ているのかもしれませんし、

つゆという季節がまだあるかのように、

じめじめした雨が降る時もあります。

どんな季節であっても、ダイゴくんは気の向くままに服を汚します。

親御様たちはお洗濯をしたり、

何かで乾かしたりします。

ホイクエンでもたくさん遊んで汚します。

汚れることはダイゴくんの大事なお仕事です。

こうすることで、ダイゴくんはいろいろなことを覚えていきます。

たくさんの心優しい大人の皆様に囲まれて、

ダイゴくんはいろいろなことを覚えていきます。


ダイゴくんはたくさんのことを覚えていきます。

ダイゴくんの中に私はいるのですが、

ダイゴくんの中のイメージに、

言葉らしいこのが関連付けられるようになってきました。

完全に言語というものになっている訳ではありませんが、

この言葉とこの動きが連動しているなど、

関係性を見出してきているようです。

また、ダイゴくんの発音には、

まだ、正確な言語はありませんが、

ダイゴくんの中では、

なんとなく言葉のようなものとして関連付けられているようです。

真似をしている段階なのかもしれません。

大人の皆様がダイゴくんに優しく話しかけてくださることにより、

ダイゴくんの中でたくさんの言葉が覚えられて行きます。

それを上手く発声することはまだできませんが、

ダイゴくんの中ではそれらしいものとして覚えられて行きます。


ダイゴくんはたくさんのことを覚えている最中です。

歩けるようになり、身体の動かし方も覚えている最中です。

運動の能力も上がってきていて、

身体もどんどん成長していきます。

頭の中ではいつも新しいことを覚えていて、

私とともにいる、ダイゴくんの中は、

いつも新しいことが入ってきています。

ダイゴくんなりに覚えようとしているのでしょうが、

とにかく覚えることがたくさんです。

とうとうダイゴくんは熱を出してしまいました。

また、体調も崩してしまいました。


親御様たちがお仕事をお休みしてダイゴくんを看病なされています。

ダイゴくんはまだ、

自分の体調が悪いということがよくわかっていません。

なんでお家にいるのだろうとすら思っています。

ホイクエンはとても楽しいのにと思っているのかもしれません。

ダイゴくんは自分の身体が熱を持っていることをわかっていません。

不調ということを感じ取りにくく、

何だか違う気がする、程度のことしかわかりません。

このあたりもまだまだ幼い故だと思います。

この小さな身体で、精一杯生きているのです。

覚えなくてはならないこともたくさんです。

生きるために必要なこともたくさんです。

それらすべてを覚えようとしている最中です。

不調ということもそのうち覚えていくでしょう。

しかし、覚えるまでは、

周りの大人の皆様が、

ダイゴくんをちゃんと見てあげないといけません。

ダイゴくんが天真爛漫に生きていけるのは、

大人の皆様が守っているからだと思うのです。

小さなダイゴくんが生きているのは、

みんなで起こしている奇跡であると思うのです。

ダイゴくんは熱を出しています。

その熱を持った頭の中で、

たくさんのことを覚えようとしています。

夢の中ですら、いろいろなことを覚えようとしています。

ダイゴくんは成長のただ中にあります。


ダイゴくんがゆったりしているとき、

親御様のお話を聞きました。

なんでも、オーディションというもので、

ファイナリストというものに選ばれたとのことです。

よくわかりませんが選ばれたということでしょう。

そして、ファイナリストというものに選ばれて、

さらにそこから選ばれるためには、

専用の写真を撮って、

一年間のレッスンを受けて、

さらに会場で発表のようなものをしないといけないようです。

親御様たちは、そこまではいいかなということで、

ファイナリストというものは辞退なされるようです。

それとは別のオーディションにおいて、

すでに選ばれているとのことですので、

いくつも受ける必要がないのかもしれません。

ファイナリストというものから、

さらに選ばれることにより、

賞金なども出るということでしたが、

それらも含めて辞退なされるとのことです。

親御様たちがお仕事をされているのに、

さらにダイゴくんのレッスンまでは負担が大きいのかもしれません。

あくまで、親御様たちと、ダイゴくんが心地いい生き方ができればと思うのです。

親御様たちは笑顔であってほしいと思いますし、

ダイゴくんも楽しく生きてほしいのです。

そこに重い負担があっては、

笑顔が曇られてしまいます。

私としては、それは本意ではありません。

ダイゴくんがいろいろなところで選ばれるのはとてもいいことですが、

笑顔になれることが第一であってほしいのです。

ご辞退は、英断だと私は思うのです。


ダイゴくんは賞金を手にすることはなくなりましたが、

ダイゴくんに重い負担をかけて得る賞金に何の価値がありましょう。

そうでなくてもダイゴくんは今、

たくさんのことを覚えている最中です。

身体も成長していき、

頭の中にもたくさんのことが入ってきています。

覚える言葉もたくさん増えていって、

じきに意味を持って話せるようになるかもしれません。

今、ダイゴくんは大事な時期なのです。

ここに重い負担があっては、

ダイゴくんが伸び伸びとできなくなってしまいます。

天真爛漫なダイゴくんが一番です。

それが一番の優先事項です。


ダイゴくんはたまに熱を出しつつ、

いろいろなことを覚えていっています。

ホイクエンは楽しく、

みんなに良くしていただいています。

私もダイゴくんの中にいながら、

ダイゴくんと仲良くなってくださいと念じます。

すると、ホイクエンのお子様は、

ダイゴくんと仲良くなってくださいます。

魔法かもしれないと思っていますが、

おそらくダイゴくんが持っている魅力もあるのだと思います。

魔法だとするならば、

ダイゴくんの資質との相乗効果が出ているのかもしれません。

ダイゴくんはみんなに愛される勇者のような存在になるべきです。

私がそう願っていることと、

ダイゴくんがもともと持っている勇者の素質、

ダイゴくんの魅力と、私が念じることの魔法。

それらが一体となって、

ダイゴくんはみんなに好かれる存在になっているのかもしれません。

まだまだ幼いダイゴくんです。

これから成長していくにあたり、

魅力はますます増していくことでしょう。

ダイゴくんの敵はいなくなって、

全ての人がダイゴくんを愛するようになるでしょう。

それが、私の目指す、

みんなに愛される勇者のような存在です。

敵を倒すばかりが勇者ではありません。

敵も味方に引き入れることができればそれがいいです。

それはつまり無敵ということです。

無敵の勇者は、みんなから愛されるということです。

私が目指すダイゴくんの勇者像は、そこにあります。


ダイゴくんはまだ、悪ということを知りません。

大人に守られ、お友達ができて、

心地いいことをたくさん覚えている最中です。

このまま、笑顔で成長してほしいと願うのです。

汚れるのは、服だけでいいです。

可能であれば、心が傷つくことがないように生きてほしいと思うのです。

そうはいかないかもしれません。

大人になるにあたり、傷が増えるかもしれません。

悲しいことも覚えるかもしれません。

私はそれでもダイゴくんの中にいて、

聞こえるかわかりませんが、慰めになれればと思います。

ダイゴくんの人生はダイゴくんのものですが、

つらいことが少なくなればと願わずにはいられません。


ダイゴくんの勇者への道は、まだまだ続きます。

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