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第12話 今度こそ恋人たちを



あれから私は望まない夢の中でリアムたちに抱かれ続けた。

それこそ夜が明けるまでずっと。


泣いて抵抗した。姫として彼らに命令も何度もした。何とか私がそれを望んでいないことを伝えた。しかしそれでも彼らは止めようとはしなかった。




「…」




夢から覚めた私はいつものようにすぐには布団から動こうとはせず、昨日の夢について考えていた。



何故、彼らは私の望まないことをしたのか。し続けたのか。彼らにとって私は絶対で逆らえない存在なはずなのに。


彼らは私が憎い。だから私にどうにか強力な媚薬を煽らせ、私を無力化して私を好きなようにした…とかだろうか。


私がそのまま楽しめばそれでもいいし、もし私が嫌がればもっといい。

彼らは予想外に嫌がり、怯える姿を見せた私にここぞとばかりに復讐をした。


私が力を取り戻した後、自分たちがどうなってしまうか冷静に考えることができない程私への恨みに我慢の限界がきているから。


そうでなければあの状況の説明がつかない。


そうだとすれば私の身がいよいよ危ない。私はいつどんな形で彼らに危害を加えられるかわからない。


私の夢なのでそんなことは絶対にないと思っていたが、昨晩それはあっさり覆された。


元々私はもう彼らに酷いことはしたくない。彼らもついに私に手を出すほどの我慢の限界。これは早く決着をつけた方がいいだろう。


私はいつもの場所に置いてあるスマホに手を伸ばしながら仕事を休む為の口実を頭にいくつか思い浮かべた。




*****




結果から言うと私は会社を休めた。

口実はいろいろと考えたが結局は体調不良が一番使い勝手がいいのでそれにした。


今すぐに寝て夢の中の彼らを解放する為に取ったズル休みだ。

しかし目覚めたばかりなのでさすがにすぐには眠れない。


そこで私は眠る為にまずは家の中の掃除を始めた。

それから洗濯物、普段手が回らない場所の片付けなど目に付く家事をとことんやり尽くした。


そして昼食を食べ終えた午後。


ほどほどに動いて昼食を食べ終えた昼過ぎの時間帯は眠たくなるもの。

眠気が襲ってきた所で私は急いで布団の中に入った。


正直彼らに会うのが怖い。

しかしだからと言って逃げる訳にはいかないのだ。

全ては浅はかだった私が招いた結果だ。


今度こそ彼らを解放する。

今までの非礼を詫びて。


緊張と昨日の恐怖がぐちゃぐちゃに混ざった思いを抱えながら私はまた夢の中へと意識を落とした。




*****




意識が覚醒する。




「…」




目覚めた場所は私の部屋で私はソファに1人で座っていた。

すぐに状況を確認する為に周りを見渡したが、恋人たちがいる気配はない。




「今の時間帯と今私が何をしていたのかを説明してちょうだい」




いつもなら自分である程度は把握してあとは流れに身を任せるが、今日は時間内に目的を果たさなければならなかったので、私は近くにいたメイドに今の状況の確認を始めた。




「ただいまの時刻は午後1時でございます。エマ様はレオ様との昼食を終えここで休憩をしている所でございました」


「…この後のリアムたちとの予定はどうなっているのかしら?」


「本日は午後からリアム様と過ごされる予定になっております」


「…そう。それを変更するわ。午後はリアム、ルーク、レオと30分から1時間ほど1人ずつここで面談をするわ。都合のつく者から呼びなさい。いいわね?」


「かしこまりました」




メイドから細かい状況を聞き出した後、私はすぐに今日の日程の変更を命じた。

するとメイドは礼儀正しく一礼して部屋から出て行った。



これでまずは環境の設定ができたので一安心だ。

昨晩のような訳のわからない状態からの覚醒ではなくよかった。


都合の合う者からと私は言ったのでおそらく一番にこの部屋に通されるのはリアムだ。

これからどんなことが起きるのか、どうなってしまうのか正直何もわからない。


だが、私は必ず今度こそ彼らを解放してみせる。



ドクドクと緊張で心臓がうるさい中、私は両手を思いっきり握りしめてリアムを1人待った。



そして10分もしない内に扉をノックする音がこの部屋に響いた。




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