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第4話 不思議な始まり

その日からだった。

本を読めば読むほど、頭の中に、するする入ってきた。

ダイエット講座?糖質制限ダイエット?なるほど、こうやるのか。

おからがいいのか。これをパスタで和えて。

iPad?字も読めるし、意味がわかるぞ。

iPadは、給料前借りして、買った。

なぜか輝いて見える。

そんな調子で、みるみる痩せ細り、仕事もバリバリ覚えた。

まずは相手を見て、聞く姿勢を見せて。肯定的な提案を繰り返す。

そうか、わかってきたぞ。

なんか楽しくなってしまった。

ああ。

生きてるなあ。

ひざも楽になったなあ。

そしてまた、本を読むことができる。

すばらしい!


しかし、くるべき事態は起きた。


初めての恋愛、そして失恋。


それなりに、モテたが、

いかんせん足腰が弱かった。


若いやつらに勝てるわけなかった。


こんな初老の男は、はじめから眼中になかったのだ。


くそぅ、こんな契約書のせいで、

下らない毎日を、楽しんでしまったじゃないか。


「やってられねえ、」


ビリビリビリビリ!


契約書を破ったら、文字が光った。


音がぐわんぐわんする。


そして光の渦に飲まれ、意識を失ないかけてゆく。


ああ。


やっとだ。やっと人生が終わるんだ。

やったー!

こんなふざけた人生にはおさらばして。

とっとと巻く引きできる。


そして、すべて闇に包まれた。

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