そこは、名もなき街。
どこの国や地域にも属さぬ、中立地帯。
そこがおすすめだと、桜皮(おうひ)が教えてくれた。
昔は、ルーダの街、今は名を捨てて失なわれた。
ロストの街。
あえていうなれば、これである。
相次ぐ争いの末に、中立を選ぶ。
だから、
さまざまな国や地域からも、行商がやってくる。
人とは限らない。
当然ながら、喋る猫もいる、、、。
ルシオロ族と言うらしい。
他にも、人外の、獣族、妖精族。
いろんな種族がいて、さまざまなものを取り扱いしている。
ここならば。
カレーもあるはず。
「カレーとは何でしょう?」
「簡単に言うと、スパイス入り野菜煮込みかな?」
「ああ、漬物でしょうか?」
いあ、それはキムチ鍋、、、。
というのは、伝わらないか。
キムチ鍋はあるんだな。
でも、カレーが食べたい!
お寿司は、我が捌き作ればよいが、
カツカレーが食べたいのだ。
「そんなに美味しいのでしょうか?」
「たぶんね。君の舌に合えば」
「楽しみですね!カレー!」
カツカレーね、、、。
酒場に着くと、カウンターへ。
とりあえずお酒。じゃないジュースを。
未成年とかあるんだったかな?
まあいい。
「スパイス入りの料理ってある?」
「ごめんなさい、ここにはないの。
でも、
あの人なら何か知っているかも!」
見ると手を振る白髪の男。
「情報屋か?」
「タダでは何も教えてやれないな。
あー、喉が乾いたなあ。」
仕方ない。
店員に合図して、ごちそうする。
「ああ、そうだ。町外れに、ホッと亭という、舌も焼ける小料理屋ができたらしい」
「ありがとう」
合図して、立ち去る。
舌も焼ける?
どれだけスパイシーなんだろうか?
期待を胸に、町外れに向かう。
今からならば、夕暮れまでには、
ロストの街に帰れるだろう。