2人は街の市場へ向かった。
露店では、
天幕を張り、日除けされて、
薄暗がりのなか、
さまざまな食べ物や飲み物、
おみやげなどで賑わい、
笑顔いっぱいである。
市場では大抵、
貧しい子どもがリンゴをくすねて
追いかけられるイメージだが、
ここでは子どもでも物売りして
生計を立てているためか、
そういうのは見かけない。
街の治安を一手に引き受けているのは、どうやら冒険者らしい。
冒険者はそこかしこに潜んでいるらしく、ついさっきも、においを嗅ぎ回るルシオロ族の猫だったり、杖を持って入る魔法使いが注意され、街の外へ出るように促されていた。
この街では武器を持ち込みしないように、入り口で軽く見定められるらしく、大きな剣や盾、斧などは誰も持っていない。
平和だなあ。
けど。
斧などは売ってなさそうだ。
仕方なく、売った野菜をお金に替えたあまりで、おみやげ屋さんを見てまわる。
情報屋の話では、武器商人のいるような街では、争いが絶えず、敵対的モンスターも多いと聞く。
そういう街では、戦士や魔法使いがたくさんいるのだそう。
あの情報屋、いちいち酔っぱらいなんだよなあ。
それに目つき悪いし。
気持ちいいものではない。
それに、
お嬢さんたちも飲まないか?って、失礼しちゃう。
平和なのも考えものかなあ。
まあ、
酔っぱらいついでに失言しなかったことだけは、褒められるかな。
ここがどれだけ紳士的な街なのか、わかったような気がする。
そんなことを考えながら、
1点を見つめると、
「お嬢さん、そこのふさふさの銀髪の。何かほしいのかい?」
「いあ、う、、、。」
「きらら星のお守り、なんてどうだい?
青い石に金粉が散っててきれいだよ。
こういうのは、願掛けがてら、
思いきって買っちゃうものだよ。」
「店主さま。2つおそろいでいくらになりますか?」
「そっちのべっぴんさん。お連れさまかい?安くしとくよ。」
店主は、
左の手のひらを広げ、
右の人差し指を添えた。
「銅貨6枚ですね、買います!」
「いあ、う、、、。」
「お客さんかなわないなあ。
銀貨6枚のつもりだったけど。
仕方ない、、、。
旅のプレゼントだ、
よし、売った!」
すごい交渉力!お見事!
さすが相方!
にっこり微笑みあう。
農具は買えなかったけど、
旅の思い出は買えました。
さあ、宿に戻ろうか。