目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第12話 市場へ

2人は街の市場へ向かった。


露店では、

天幕を張り、日除けされて、

薄暗がりのなか、

さまざまな食べ物や飲み物、

おみやげなどで賑わい、

笑顔いっぱいである。


市場では大抵、

貧しい子どもがリンゴをくすねて

追いかけられるイメージだが、


ここでは子どもでも物売りして

生計を立てているためか、

そういうのは見かけない。


街の治安を一手に引き受けているのは、どうやら冒険者らしい。


冒険者はそこかしこに潜んでいるらしく、ついさっきも、においを嗅ぎ回るルシオロ族の猫だったり、杖を持って入る魔法使いが注意され、街の外へ出るように促されていた。


この街では武器を持ち込みしないように、入り口で軽く見定められるらしく、大きな剣や盾、斧などは誰も持っていない。


平和だなあ。


けど。


斧などは売ってなさそうだ。


仕方なく、売った野菜をお金に替えたあまりで、おみやげ屋さんを見てまわる。


情報屋の話では、武器商人のいるような街では、争いが絶えず、敵対的モンスターも多いと聞く。


そういう街では、戦士や魔法使いがたくさんいるのだそう。


あの情報屋、いちいち酔っぱらいなんだよなあ。


それに目つき悪いし。


気持ちいいものではない。


それに、


お嬢さんたちも飲まないか?って、失礼しちゃう。


平和なのも考えものかなあ。


まあ、

酔っぱらいついでに失言しなかったことだけは、褒められるかな。


ここがどれだけ紳士的な街なのか、わかったような気がする。


そんなことを考えながら、

1点を見つめると、


「お嬢さん、そこのふさふさの銀髪の。何かほしいのかい?」


「いあ、う、、、。」


「きらら星のお守り、なんてどうだい?

青い石に金粉が散っててきれいだよ。

こういうのは、願掛けがてら、

思いきって買っちゃうものだよ。」


「店主さま。2つおそろいでいくらになりますか?」


「そっちのべっぴんさん。お連れさまかい?安くしとくよ。」


店主は、

左の手のひらを広げ、

右の人差し指を添えた。


「銅貨6枚ですね、買います!」


「いあ、う、、、。」


「お客さんかなわないなあ。

銀貨6枚のつもりだったけど。

仕方ない、、、。


旅のプレゼントだ、

よし、売った!」


すごい交渉力!お見事!

さすが相方!


にっこり微笑みあう。


農具は買えなかったけど、

旅の思い出は買えました。


さあ、宿に戻ろうか。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?