朝。
宿を出て、未開の森に向かおう、
として。
その矢先。
街の入り口近く。
魔法使い風の女の子に、
呼び止められた。
「ねえあなた、そこの、
銀髪のふさふさの。
って、
シカトすんな!まな板!」
「えっ?」
関わり持つとめんどくさいので
素通りしようとしたが、
思わず振り返った。
「そう、そこのあなた。
あんただよ。
また他人の振りでどこか行こうと
してる人!
、、、。
我はいなーい、
我はいなーい、
じゃあないんだよ!」
ああ、知ってる、こうゆう人。
確実にめんどくさい人。
「街の中へ入れなくて困ってるの。
わたしはリッタ、魔法使いよ。」
仕方ない。
「我に何用か?」
「はじめまして、おはようございますリッタさま。わたしむぐぅ?!」
慌てて桜皮(おうひ)の口をふさぐ。
「自己紹介いいから。
我らは旅の者、
この街とは無縁だ。
今から立ち去るので失礼する。」
「それ、
桜の木の鉢植えじゃない?
何年もの?
その小ささじゃ、
一年も経ってないわね?」
「5年ものだが、、、。」
「へーえそうなの。
ところで猫を見かけなかった?
喋る猫で、
あなたのような銀髪の。」
主さま、危険です!
言い様のない悪意を感じます!
意識が伝わってくる。
すると、
「あ、ごめんなさいね♪
わざわざ呼び止めてしまって。
こう見えて、
わたしは猫好きなのよ?
だからずっと探しているの。」
「ごめんなさいませ。
美しい魔法使いのリッタさま、
どのようなお知り合い、
なのですか?」
「あ。聞いてくれる?
大丈夫、すぐに終わるから。」
手招きして、
こっそり聞くように、
促すような仕草をする。
そして。
「立ち話もなんだから、
ホッと亭へ行きましょう?」
カランコロンカラン♪
「いらっしゃいませー♪
3名さまですね?
あちらのテーブルへどうぞ♪」
3人?は、ホッと亭に陣取った。
2人?は並びで。
1人は正面へ座った。
手を伸ばすと店員に叫ぶ。
「フルーツいっぱいジュース、
今すぐ3人前ね♪」
が、
しかしながら、
その話は鬼より長かった。