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第15話 長かった話

それは、


要約するとこうだ。


海岸の魔女リビエラ。


スキルは対象の存在を、

世界から消すこと。


それは、

人やものに限らず、

あらゆる事象、

技やスキルにまで及ぶ。


消されたものがどうなったか、

わからないという。


その一番弟子リッタは語る。


リビエラもやはり猫好きだった。


猫を溺愛しすぎて、

国ひとつ消失させかけた。


その猫が族長の猫と駆け落ちした。


だから反感のあまり、

喋る猫になる呪いをかけた。


正しくは、

猫耳族としての存在を消した。

逆らえぬように理性を消した。

にゃあと鳴く鳴き声を消した。


こわ、、、。


そうして可愛がってきた猫。


否、


偏愛?


魔女がすべてこう、

とは言えないが。


この魔女は、、、。


その中でもお気に入りを、

うっかり消してしまった。


それが最近、

よみがえったとか、

銀髪のふさふさの美少女が

現れたとか、

うわさなので調べてこい、


ということらしい、、、。


そんなに目立ってたんだ

、、、。


ていうか、

おーにく、おーにく、

おーいしーいなあー♪

とか、

歌ってるのがかわいい、

とか、

愛おしい、

愛らしい、

微笑ましい、

癒される、

とか、


全然まったく、

身に覚えないんだったが?


ええ、しっかり歌ってますよ?


ついさっきも、


フルーツいっぱい、

おいしーいなあー♪

って、歌ってましたよ?


意識が伝わってくる。


恥ずかしい、、、。


今は人里を避け、

海岸に屋敷を構えて、

弟子と猫たちと幸せに暮らして

いるのだそう。


、、、。


で?


飼い猫に戻れとでも?


断じて。


だが、断る!


いーやーだー!!!


やはり、そうなりますよねー?


意識が伝わってくる。


そしてリッタは。


左手のひらをポンと叩き、

右人差し指を口に寄せた。


そして、


親指を突き立てて、

腕を前に伸ばすと、

首もとへ引き戻した。


さらに、


決意を込めた表情で、

意外な提案をしてきた。


「わたしと旅をしない?

リビエラさまなんか忘れてさ。」



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