それは、
要約するとこうだ。
海岸の魔女リビエラ。
スキルは対象の存在を、
世界から消すこと。
それは、
人やものに限らず、
あらゆる事象、
技やスキルにまで及ぶ。
消されたものがどうなったか、
わからないという。
その一番弟子リッタは語る。
リビエラもやはり猫好きだった。
猫を溺愛しすぎて、
国ひとつ消失させかけた。
その猫が族長の猫と駆け落ちした。
だから反感のあまり、
喋る猫になる呪いをかけた。
正しくは、
猫耳族としての存在を消した。
逆らえぬように理性を消した。
にゃあと鳴く鳴き声を消した。
こわ、、、。
そうして可愛がってきた猫。
否、
偏愛?
魔女がすべてこう、
とは言えないが。
この魔女は、、、。
その中でもお気に入りを、
うっかり消してしまった。
それが最近、
よみがえったとか、
銀髪のふさふさの美少女が
現れたとか、
うわさなので調べてこい、
ということらしい、、、。
そんなに目立ってたんだ
、、、。
ていうか、
おーにく、おーにく、
おーいしーいなあー♪
とか、
歌ってるのがかわいい、
とか、
愛おしい、
愛らしい、
微笑ましい、
癒される、
とか、
全然まったく、
身に覚えないんだったが?
ええ、しっかり歌ってますよ?
ついさっきも、
フルーツいっぱい、
おいしーいなあー♪
って、歌ってましたよ?
意識が伝わってくる。
恥ずかしい、、、。
今は人里を避け、
海岸に屋敷を構えて、
弟子と猫たちと幸せに暮らして
いるのだそう。
、、、。
で?
飼い猫に戻れとでも?
断じて。
だが、断る!
いーやーだー!!!
やはり、そうなりますよねー?
意識が伝わってくる。
そしてリッタは。
左手のひらをポンと叩き、
右人差し指を口に寄せた。
そして、
親指を突き立てて、
腕を前に伸ばすと、
首もとへ引き戻した。
さらに、
決意を込めた表情で、
意外な提案をしてきた。
「わたしと旅をしない?
リビエラさまなんか忘れてさ。」