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1. お雪の疑問炸裂
お雪がサブカルチャーにどっぷりと浸かる日々が続く中、ある夜のことだった。直也が仕事から帰ると、リビングにはテレビの前で真剣な顔をするお雪の姿があった。画面ではBL作品のアニメが放送されている。
「……直也よ、そなたに問いたいことがある。」
「何だよ、いきなり。」
「BLとは、そもそも何故このような人気があるのじゃ?なぜ人間は男同士で愛し合う物語を奨励するのか?」
直也は思わず頭を抱えた。
「いや、奨励とかそういうんじゃなくてさ……いろんな好みの人がいるってだけだよ。」
「むぅ、妾には理解が難しいのう。だが、不思議なことにこの物語を見ると、なぜか心がざわめくのじゃ。」
「興味をそそられるな!」
直也がツッコミを入れると、お雪は不満げに眉をひそめる。
「そなた、妾の好奇心を否定するのか?」
「いや、否定はしないけどさ……その辺、深入りするといろいろ大変だから控えめにしてくれよ。」
「ふむ……そなたがそう言うなら、ひとまず引き下がるとするか。」
そう言いながらも、画面に映るキャラクターをじっと見つめるお雪の目は好奇心に満ちていた。
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2. 百合への興味と混乱
翌日、直也がリビングに戻ると、今度は百合作品のアニメを見ているお雪の姿があった。彼女は首を傾げながら何やらぶつぶつ呟いている。
「直也よ、百合とは花のことではなかったのか?」
「いや、それはそうなんだけど……この場合は女同士の恋愛を指してるんだよ。」
「女同士……むぅ、それもまた自然の摂理に反するではないか?」
「まあ、そう思う人もいるかもしれないけど、好きな人を否定するのは良くないだろ?」
お雪は少し考え込むようにうなずいた。
「そうじゃな。そなたの言うことも一理ある。しかし、妾には一つ懸念がある。」
「懸念?」
「これでは、種の存続が危うくならぬか?」
直也は一瞬言葉を失った。
「えっと……いや、それは……そう簡単に滅ぶわけじゃないし、みんながそうなるわけでもないから。」
「むぅ、それならば良いが……もし人類が滅びかけたら、妾が雪女として何か助力せねばなるまいのう。」
「お前が関わる必要はないだろ!」
直也のツッコミにも、お雪は真剣な表情を崩さない。
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3. 雪女の独自の理論
さらに数日後、お雪は直也に向かってこんな提案をしてきた。
「直也よ、妾には一つ考えがある。」
「何だよ、今度は。」
「人間界の文化は素晴らしいが、このままでは種の存続が危ういという妾の仮説がある。そこで、妾とそなたが実証実験を行うのはどうじゃ?」
「実証実験?」
「ふむ。妾とそなたの間に子をなすことで、人間と雪女の共存が可能であるかを試すのじゃ。」
直也はその言葉に顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「はあああ!? 何言ってんだよ!」
「むぅ、そなたは妾では不足と申すか?」
「そういう問題じゃなくて!」
「そなたが男として妾を満足させる自信がないなら、それはそれで仕方ないが……」
「自信とかの問題でもないから!」
お雪の天然発言に直也は全力で否定するが、彼女はどこ吹く風といった様子だった。
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4. 真剣な(?)議論
その夜、直也は真剣にお雪と話し合うことにした。リビングのテーブルを挟んで向き合いながら、彼は深いため息をつく。
「お雪、お前、ちょっとサブカルに染まりすぎてないか?」
「むぅ、妾はただそなたの世界を学んでおるだけじゃ。」
「学ぶのはいいけどさ、俺を巻き込むのはやめてくれ。」
「ふむ、そなたがそのように言うならば、一旦引き下がるとしよう。しかし……」
お雪は目を細め、直也をじっと見つめる。
「そなた、いずれは妾と“種の存続”について真剣に考える時が来るのではないか?」
「来ない!絶対来ない!」
直也の全力の否定にも、お雪はどこか楽しそうな笑みを浮かべていた。
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5. まとめ:雪女の懸念
最終的にお雪は、「妾はただ人間界の行く末を憂いておるだけじゃ」と言いながらも、明らかに楽しんでいる様子だった。直也は疲れ果てながらも、ふと思う。
「……なんだかんだ言って、こいつがいると退屈しないな。」
お雪が真剣な顔で考えたり、突拍子もない提案をしてきたりする様子は、直也にとっても新鮮で楽しいものだった。
「むぅ……そなたも、いずれ妾の言うことが正しいと気づく時が来るかもしれぬぞ。」
「来ないってば!」
二人のやり取りはいつも通りだが、少しずつ心の距離が縮まっていることに、二人とも気付いていなかった。